レバレッジETFとビットコインに投資しています。
初回公開日:2021年5月1日
最終更新日:2022年4月10日
今回は、ヘルスケアに投資するレバレッジETFであるCUREを紹介します。
対応するレバレッジなしのETFである、XLV, VHT, IXJも合わせて紹介します。
なお、両方とも特定口座、NISA口座で購入できます。
目次 (クリックでジャンプ)
XLV
概要
CUREに対応する、レバレッジのないETFです。
正式名称は以下の通りです。
State Street社が販売しているSPDR®シリーズの1つです。
連動する指数は、ヘルスケア・セレクト・セクター指数(Health Care Select Sector Index)です。
S&P 500のうち、ヘルスケアーセクターを代表する企業指数。
構成企業:ヘルスケア機器・用品、ヘルスケア・プロバイダー/サービス、バイオテクノロジー、医薬品、ライフサイエンス・ツール/サービス、ヘルスケア・テクノロジー
公式サイトより
2021年4月6日現在、63企業から構成されています。
構成銘柄
2021年4月7日現在のXLVの構成銘柄は以下の通りです。

(最新情報はこちら)
上位にはJohnson and Johnson, ファイザー、メルクなど、米国株投資家にはおなじみの企業が並びます。製薬会社の多さが目を引きます。
設定時期
1998年12月16日と、かなり古いです。
ちなみにXLKと同じ日です。
配当利回り
基本的に年4回分配金を出しています。
2021年4月7日現在の利回りは1.50%です。XLKよりは高くS&P 500よりは低いという、まずまずの水準です。
経費率
0.12%とかなり抑えられています。
特定のセクターに投資するETFとしてはまずまずと言えるでしょう。
流動性
純資産 240.5億ドル
平均出来高 8,975,937
(2021年4月7日現在)
流動性は十分と言えるでしょう。
VHTとIXJ
ヘルスケアに投資できる非レバレッジETFには、他にVHTとIXJがあるので簡単に紹介します。
VHTの正式名称はVanguard Health Care Index Fund ETFで、バンガード社が運営しています。
IXJの正式名称は iShares Global Healthcare ETFで、ブラックロック社が販売しています。
経費率はVHTが0.10%なのに対し、IXJ は0.46%と高めです。
2005年以降のXLV, VHT, IXJのパフォーマンスは以下のグラフ通り、VHT>XLV>IXJです。構成や手数料の違いによるものと思われます。

流動性はどうでしょうか。
VHTは純資産はXLVよりやや少ない程度ですが、平均出来高はXLVの数十分の1と大きく劣ります。
IXJの純資産、出来高はVHTを下回ります。
IXJをあえて選ぶ理由はなく、IXJかVHTを選ぶのが妥当でしょう。
選び方ですが、
流動性重視→XLV
パフォーマンス重視→VHT
とするのがよいでしょう。
以下ではXLVをヘルスケアセクターETFの代表とします。
CURE
概要
正式名称は以下の通りです。
日々の値動きが、ヘルスケア・セレクト・セクター指数の3倍となることを目指して運用されます。
したがってパフォーマンスは、 XLVの構成銘柄の株価によって決まります。
設定時期
2011年6月15日です。
SPXLやTECLよりも新しいレバレッジETFです。
配当利回り
不定期に分配金を出していますが金額はごくわずかで、2021年4月7日のETF価格で見ると0.18%です。
他のレバレッジETFと同じで、キャピタルゲイン目的で持つETFです。
経費率
1.01%であり、レバレッジETFとしては妥当なところです。
流動性
純資産 1.27億ドル
平均出来高 61738
(2021年4月7日現在)
以前の記事に、レバレッジETFの流動性について書きました。
CUREはSPXLやSOXL、TECLと比較すると時価総額、出来高が大きく劣ります。流動性はかなり低いと言えます。
レバレッジETFでは流動性が重要であり、相場急変時に指数と連動できなくなるリスクがあることは押さえておいたほうがいいでしょう。
分割
2013年8月に2分割、2015年5月に4分割されました。
2021年4月現在の価格は80ドル前後と、個人投資家にも買いやすい水準です。
XLV, CUREのパフォーマンス
比較対象はS&P 500とテクノロジー・セレクト・セクター指数とします。
テクノロジー・セレクト・セクター指数のETFであるXLKとTECLについてはこちらの記事をご覧ください。
XLV
設定〜現在
設定直後の1999年1月から2021年3月までで、S&P 500、XLKと比較します。
この期間にはITバブル崩壊やリーマンショックがありました。

この期間のパフォーマンスはXLV>XLK>S&P 500でした。
2000年のITバブル崩壊ではXLKが暴落したのに対し、XLVはそれほど影響を受けていません。
最大ドローダウンは小さい順に、XLV、S&P 500、XLKでした。
2010年以降
ハイテクが躍進した2010年以降では景色が変わります。
2010年1月〜2021年3月で見てみましょう。

この期間のパフォーマンスはXLK>XLV>S&P 500となりました。
XLKにはかなわないものの、S&P 500を少しだけ上回っています。
またドローダウンはXLVが最小です。上の図の最大ドローダウンは月次終値で見たものですが、日次でも同じことが言えます。
この期間で最大の経済危機であるコロナショック時の最大ドローダウン(日次)も、XLVが最小でした。
このように、現時点でXLVには以下のような特長があります。
XLVは市場平均と同等以上のパフォーマンスを持ち、かつ市場平均より最大ドローダウンが小さい。
まさにヘルスケアの堅実性、安定性と言えるでしょう。
CURE
こちらはSPXL, TECLと比較します。
なお、TQQQとの比較についてはこちらの記事をご覧ください。
時期は、CUREが設定された後の2011年7月〜2021年3月です。

XLV、XLK、S&P 500の関係がここでも当てはまります。
パフォーマンスはTECL>CURE>SPXLで、最大ドローダウンが一番小さいのはCUREとなりました。
レバレッジETFでも、ヘルスケアの特長である安定性が存分に活かされた結果となりました。
XLVやCUREに投資すべきか
このように、XLVは堅実性と安定性を兼ね備えたETFです。
ヘルスケア業界は不況に強い傾向があり、それは今後も変わらないでしょう。従って、今後もドローダウンは小さい傾向が続くと考えられます。
言うまでもなく健康や生命は最も大事なものです。
ご存知の方も多いと思いますが、アメリカには日本の国民皆保険制度のような公的医療保険がありません。
(低所得者対象のメディケイドや高齢層対象のメディケアなど、一部を対象とした公的保険はあります。)
アメリカの医療費はバカ高く、一般家庭は毎月多額の医療保険料の支払いを強いられます。
日本の国民皆保険が恵まれていることに感謝しなければいけません。
(もっとも超高齢社会となった日本ではその歪みが出てきていて、いずれ国民皆保険制度が崩壊する恐れがありますが。)
一方で、今後も市場平均と同等以上のパフォーマンスを発揮するかについては疑問が残るところです。
今後はAIの時代と言われます。ヘルスケア企業もAIやハイテクの恩恵は受けるでしょうが、S&P 500がハイテク企業に牽引されて大きく上昇し、ヘルスケアセクターのパフォーマンスがそれより劣る可能性は十分にあります。
それでもトータルで見れば、アメリカのヘルスケアは有望な投資対象と言えるのではないでしょうか。
レバレッジETFのCUREはどうでしょうか。
こちらの記事で書いた通り、基本的に3倍レバレッジETFのガチホはお勧めしません。
ただ、CUREは比較的ドローダウンが低いため、ガチホしても結果的に元に戻り、最高値を更新する可能性が高いかもしれません。
実際、シミュレーションではCUREはリーマンショックにも耐えることができました。
使いどころがあるかを考えた上で、投資を検討してみて下さい。
2022年上旬のヘルスケアセクター
2022年現在、利上げ局面を迎えていてハイテクが不調です。
2022年の年初から4月8日現在までの、VHT, VOO, QQQのリターンをグラフで比較してみましょう。

QQQ(紫)が大きく値を下げ、VOO(水色)も年初来リターンがマイナスですが、VHT(青)はほとんど下落していません。
VHTはこの期間に分配金を出していて、それも考慮するとリターンはプラスになります。
同じ期間のCURE, SPXL, TQQQのチャートも比較してみましょう。

TQQQ(紫)、SPXL(水色)はマイナスですが、CURE(青)はなんとプラスになっています。
以前検証しましたが、レバレッジETFの価格には基準インデックスの分配金分が上乗せされます。その結果プラスになったようです。
ヘルスケアは金利上昇局面にも強いことを示したケースです。
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