株式投資

「VOOに300万円」と「SPXLに100万円」のリターンはどう違うのか

カガミルです。
レバレッジETFとビットコインに投資しています。

質問箱にこのような質問をいただきました。

L = 3のレバレッジETFで考えるなら、ポイントは以下の通りです。

  1. VOOに300万円投資する
  2. SPXLに100万円投資する

①と②のリターンは同じか?

念のため解説すると、VOOはS&P 500の非レバレッジETF、SPXLはS&P 500の3倍レバレッジETFです。

計算上は、①も②もS&P 500を300万円分保有していることになります。

しかし結論から言うと、①と②のリターンは全く違います。

この記事では数式やグラフも用いて解説します。

S&P 500と「理想的な」SPXLのリターン

投資リターンの分布を表す数式については以前の記事で解説しました。

この数式を用いますが、「理想的な」レバレッジETFでは以下の条件が成立します。

非レバレッジETFのリターンがμボラティリティがσの時、

L倍レバレッジETFのリターンはLμボラティリティはLσとなる。

実際のL倍レバレッジETFでは毎日コスト(金利や経費)分の価格が下がるので、リターンはLμ未満とないます。

ただし、まずはコストのない「理想的な」レバレッジETFで検証します。

VOOと「現実の」SPXLのデータを用いたケースは、後半提示します。

また両者の比較においては、異なる初期投資額にも対応できる式でなければなりません。

以上を踏まえ、リターンの確率密度変数(リターンの分布を表す式)として以下のf(x)を用います。

この式を用いて、VOO(S&P 500)とSPXLのリターンの分布を比較してみましょう。



まずはS&P 500のμとσを設定します。

時期や期間の長さによりまちまちですが、ここでは1980年1月から2020年12月までの41年間のS&P 500のデータを選びます。

Portfolio Visualizerによると、

S&P 500 (US Stock Market) のCAGR(年平均成長率)は 11.76%

とのことです。

自然対数に変換するとμ ≒ 0.111ですが、少し低めに見積もりμ = 0.10とします。

またこれまでのS&P 500ではσ = 0.20程度とされているので、この数値を用います

ボラティリティについてはこちらの記事で解説しているので、合わせてご覧ください。

先ほどの式を再掲します。

この式の代表的な数値は以下の通りです。

期間T = 10(年)とします。μ = 0.10, σ = 0.20、そして

  1. S0 = 300, L = 1
  2. S0 = 100, L = 3

(見やすいよう単位の「万円」は省略します)

を代入します。

グラフと主要な数値は以下の通りになります

(金額は1万円未満を四捨五入)

VOO 300万円(①)とSPXL 100万円(②)の分布は全く違います。

①は最頻値(ピーク)は448万円と初期投資額を上回ります。そこを中心としたばらつきは小さく、元本割れ確率も低いです。

②は最頻値が9万円と非常に低い位置にあり、元本割れ確率が高いのも頷けます。一方でばらつきは大きく、高リターンを得られる確率が①より高くなっているのがわかります。

上位10%を比較すると②の圧勝です。

以上のように、②の方が①よりハイリスクハイリターンだということがわかります。



S&P 500と「現実の」SPXLのリターン

以上は理想的なSPXLを用いたリターンのシミュレーションですが、今度は実際のSPXLのデータを用いてシミュレーションしてみましょう。

SPXLが販売開始となった直後の2008年11月5日から、2021年11月末までのデータを用います。VOOの販売開始日は2010年と遅いため、代わりにSPYのデータを用います。

μとσを計算すると以下の通りになります。

なおμはadj closeから計算した配当込みの数値です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

SPXL
μ = 0.275, σ = 0.568

SPY
μ = 0.119, σ = 0.189

実際のデータで、SPXLのσはSPYのσのほぼ3倍になっています。

一方SPXLのμはSPYのμの3倍未満ですが、これは先述したコストによるものです。

過去のデータが未来に当てはまるわけではありませんが、今回は投資期間T = 10(年)とし、その間このμとσが維持されるという仮定で行います。

SPYに300万円投資した場合を①、SPXLに100万円投資した場合を②とします。グラフと主要な数値は以下の通りです。

数字は少し違いますが、仮想SPXLでの検証とほぼ同じグラフが得られました。SPXLの方がハイリスクハイリターンであることがわかります。



終わりに

今回は「VOOに300万円投資」と「SPXLに100万円投資」のリターンの違いについて、グラフを用いて解説しました。リターンの分布が全く違うことを視覚的に理解していただけたと思います。

10年間で検証しましたが、期間が長ければ(例えば30年)SPXLのリターンのばらつきはより大きくなります。

一攫千金を夢見てSPXLや他の3倍レバレッジETFに投資する方もいらっしゃるかもしれませんが、

μが小さく、σが大きいほど、SPXLへの投資は割に合わなくなる。

あらためて数値の計算法を提示します。

μが小さいかσが大きくなると、最頻値と中央値は0に近づき、SPXLのリターンは小さくなる方向に動きます。

一方μが大きいかσが小さくなると、最頻値と中央値が高くなり、SPXLで高リターンが得られる確率が高まります。

また今回の検証ではL = 3の場合のみを取り上げましたが、Lが異なればリターンの分布の結果も変わってきます。μやσの数値によっては、3より適切なLが存在することになります。

参考になれば幸いです。

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POSTED COMMENT

  1. a より:

    100万円を証拠金として、300万円分のE-mini S&P500をロングして10年間ロールオーバーを続ければ、①のグラフを左に200万円ずらしただけの結果が得られるという理解で正しいでしょうか?

    • カガミル より:

      先物の場合は全く話が異なります。上昇相場では買い増しをしないとレバレッジが下がりますし、下落時には適宜ロスカットしなければ追証を食らうリスクもあります。取引がうまくできればこれに近いリターン分布となるかもしれませんが、別物とお考えください。

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