レバレッジETFとビットコインに投資しています。
今回は、レバレッジ投信であるUSA360について解説します。
レバレッジ投信のグローバル3倍3分法ファンドについては以前解説しました。
このファンドの投資対象は、日本及び外国の株、債券、REITと多岐にわたっていました。
一方USA360は、米国株+米国債のみというシンプルな構成です。
どのような人が投資すべきかについても考察しました。
目次 (クリックでジャンプ)
USA360の基本情報
楽天投信投資顧問が運用している投資信託です。
楽天・米国レバレッジバランス・ファンド
愛称がUSA360です。
運用会社のページはこちらです。
設定日:2019年11月5日
信託期間:無期限
為替ヘッジ:なし
購入時手数料:販売会社が定める率で上限3.3%だが、ネット証券では無料
年間の経費率:0.4945%
純資産総額:約101.38億円(2021年5月21日現在)
構成資産の内訳は以下の通りです。
米国株式 90%
米国債券 270%
(運用状況によって多少のずれが生じます。)
合計は360%、つまりレバレッジは3.6倍になります。
米国株式:米国債券=1:3というシンプルな構成です。この比率によりリスクをおさえつつ、高いリターンを狙っています。
米国株式の部分はVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)に投資していています。レバレッジをかけていません。
残りの10%が債券270%に対応することになり、債券の部分に27倍のレバレッジをかけていることになります。そのために国債先物を用いていて、交付目論見書によると5年国債先物と10年国債先物が半々とのことです。
レバレッジが高すぎるように思えますが、米国債券は安全資産で変動が小さく、それほど心配はないでしょう。
理論上価格がマイナスになりえますが、米国債がそこまで大暴落することはまずありえないと言えるでしょう。米国が財政破綻すれば起こりえますが、そうなると世界経済も共倒れであり、各国が一丸となって食い止めるはずです。
万が一価格がマイナスになっても損失は運用会社がかかえることになり、投資家が追加負担を求められることはありえないでしょう。追証が発生することはないとみてよさそうです。
USA360のパフォーマンス
こちらのサイトに過去30年強のバックテストのデータがありますので、引用します。


リターンは年率約18%と米国株式を上回り、リスクは米国株式とほぼ同等です。素晴らしいパフォーマンスと言えるでしょう。
ただし重要なのは、
という点です。
運用開始となった2019年11月5日から、2021年4月30日現在までを見てみましょう。
比較対象は楽天VTIです。

(2019年11月5日 = 10000となるよう補正)
USA360 +50.4%
楽天VTI +42.8%
この期間のUSA360のリターンは楽天VTIを上回っています。
コロナショックにおけるドローダウンは以下の通りです。
USA360 −25.2%
楽天VTI −35.6%
このようにUSA360のドローダウンの方が小さくなっています。債券の守りが存分に機能した結果です。
今度は、コロナショックの底であった2020年3月24日以降で見てみましょう。
(期間を恣意的に切り取ることに意味はありませんが、便宜上そうします。)

USA360 +68.8%
楽天VTI +95.3%
USA360は2020年10月ごろまで、楽天VTIとほぼ同等のリターンでした。しかし11月ごろから徐々に差が開き始め、2021年4月30日現在では楽天VTIを大きく下回る結果となりました。
その主な原因は、長期金利上昇による債券価格の低下です。
以上を踏まえた上で、USA360に投資すべきかを考察します。
USA360に投資すべきか
USA360はこんな人にお勧めです。
私は2020年までUSA360に投資していましたが、全額売却・利確しました。
それは、今後は債券を持たず、株+現金というポートフォリオでいくことに決めたからです。
(株にはレバレッジをかけています。また少額ですが暗号通貨なども含みます。)
債券をポートフォリオに組み込むべきかは、人それぞれ意見が異なることでしょう。
USA360なら100万円で270万円分の債券先物に投資できるので、効率がいいです。
ただし、
バックテストほどのパフォーマンスは期待できない
というのが私の考えです。
金利が低下すれば債券価格が上昇するのは、読者様もご存知だと思います。
先述の通り、USA360に組み込まれているのは5年国債と10年国債の先物です。
過去30年間の長期金利(米国10年債の利回り)を見てみましょう。FREDから引用しました。

1990年には8%台という高金利だったのが、下落の一途をたどり、今や1%台まで落ちています。
この金利低下があったから債券価格が上昇し、バックテストでUSA360のパフォーマンスを大幅に押し上げたのです。
実際、米国7-10年債のETFであるIEF価格は長期で見ると上昇傾向です(販売が開始された2002年7月以降のデータ)。

伝統的なポーフォトリオは株+債券でした。しかし低金利の時代、債券にこれまでのようなリターンを期待できるかを疑問視する声があります。
ご存知の方も多いと思いますが、ジェレミー・シーゲルの「株式投資の未来」にもある通り、株は超長期(30年〜)で持てば債券よりリターンが高く、リスク(リターンのばらつき)も低くなるとされています。
私が株+現金のポートフォリオを選んだのもそのためです。
それでもポートフォリオに債券を組み込むこと自体は有力な投資法です。
株と債券の価格は逆相関を示す傾向にあるため、経済危機の時には動きをマイルドにしてくれます。
(最近は株と債券が同時に下落するケースも散見されますが。)
ではUSAへの投資を決めた場合、どのように購入すべきでしょうか。
毎月の積立でもかまいませんが、ある程度長期金利が高いときに買った方が、金利低下による値上がり益が期待できます。
明確な基準はありませんが、2010年代の長期金利が概ね1-3%台で推移し、今後はさらに低下していくことを考えると、長期金利が2-2.5%以上の時に買うとよいのではないでしょうか。
2021年5月現在はテーパリングが予定されていて、目先の金利上昇と債券価格の低下が起こる可能性が高いと思います。
このように、適切な時期に購入を考えた方がよさそうです。
また金利上昇で債券の価格が下がるとしても、悪いことばかりではありません。
なぜなら金利上昇は債券からの利払いが増加することを意味し、債券先物のリターンも上昇することが期待できるからです。
それでもUSA360で今後、バックテストの年率18%という高リターンを得るのは難しいと思います。
経済危機で債券が機能すればVTIよりドローダウンは低くなるでしょうが、パフォーマンスはVTIとあまり変わらないか少し劣る、ということは十分にあり得ます。
繰り返しになりますが、USA360は、ポートフォリオに効率よく米国債券を組み込みたい人にお勧めの商品です。
「これからもバックテストと同じくらいのリターンが期待できるはず」という安易な考えで購入するのはお勧めしません。
投資はくれぐれも自己責任で。
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