レバレッジETFとビットコインに投資しています。
私の投資戦略「レバレッジド・コア・サテライト」では、ナスダック100の3倍レバレッジETFであるTQQQに投資をしています。
レバレッジETFの償還が不安という方がいらっしゃるかもしれません。
ETFの償還とは、何らかの理由でETFが上場廃止となり、その資産がETFのホルダーに返還されることを言います。
今回はTQQQが償還される可能性があるかについて、いくつかのケースで考察します。
運営会社が倒産した時
まずは運営会社が倒産した場合です。
TQQQを販売しているのはProshares社で、この会社が倒産すればTQQQは償還となるでしょう。
TQQQほどの大規模なETFを販売している会社が倒産する可能性は低いと考えていますが、こればかりは予測不能です。
その場合でもおそらく会社の資産は残るため、個人の保有分は現金として返還されると思います。その現金で別の会社のレバレッジETFに乗り換えることを考えてもいいでしょう。
相場急変時
価格が相場の急激な変動についていけなくなった場合にも、レバレッジETFの償還が起こり得ます。
レバレッジETFのしくみについてはこちらの記事で解説していますので、詳しく知りたい方はご覧ください。
3倍レバレッジETFの場合は資産額の3倍の先物を保有することで、指数の3倍の変動を実現します。
先物の流動性が低くて枯渇してしまうと、想定する変動が実現できないことがあり得ます。
実際、コロナショックの際は一部のレバレッジETFが急激な相場変動に連動できず、レバレッジが引き下げられました。
ではTQQQでも同じように、相場に連動できなくなることがありうるのでしょうか。
私はその可能性は低いと思います。
なぜなら以下の記事に書いた通り、TQQQはレバレッジETFの中で最も流動性が高いからです。
もしTQQQ価格が相場に連動できなくなるようなことがあれば、それより流動性の低い全てのレバレッジETF(SPXL, SOXLなど)も連動できなくなるでしょう。そうなると全てのレバレッジETFが償還される可能性もあります。
償還のリスクを減らしたいレバレッジ投資家ならなおさら、流動性が最高のTQQQを所有すべきだと思います。
それでも償還が不安というなら、レバレッジなしのETFに投資するしかないでしょう。
TQQQ価格が下落し続けた時
もしもTQQQが経済危機に遭遇したら価格がどうなるかについて、以前noteに書きました。
このように、擬似TQQQはITバブル崩壊で99.95%、リーマンショックで約94%下落すると考えられます。
今後経済危機があれば、これと同じ程度の下落があってもおかしくありません。
では、価格が際限なく下落したら償還されるでしょうか。
私はその可能性は低いと思っています。
なぜなら価格が下落しても、ETFがreverse-split(併合)されることにより価格を上昇させることができるからです。
わかりやすい例として、SQQQを見てみましょう。
こちらはTQQQの逆バージョンですが、TQQQと同じくProshares社が販売しています。
SQQQの過去10年のチャートを見てみましょう。

販売当初は10万ドルを超えていましたが、価値は下落し続けて今は10ドル台です。なんと10年前の6000分の1以下になってしまいました!
それでも上場廃止にならなかったのは、ETFの併合を繰り返したからです。
併合の歴史はこちらで紹介されています。
https://www.splithistory.com/sqqq/
2012年から2020年の間にSQQQは5回も併合されたのです!そして併合されるたびに株数を減らして価格を上げてきました。
SQQQと同じことがTQQQにも言えると思います。
もしTQQQ価格が下落し続けても、ETFの併合が行われて価格が上がれば、償還はしないで済む可能性が高いのではないでしょうか。
なおこれはある程度時間をかけてTQQQが下落した場合を想定しています。
もしあまりに急激にTQQQが下落した場合、併合する間もなく償還になる可能性はあります。
ただしそれが起きるのは人類が存亡の危機を迎えるような極めて特殊な場合であり、通常のインデックス投資すら危うい状況だと思います。
TQQQ価格が上昇し続けた時
私が最も気になるのはこのケースです。
TQQQ価格が際限なく上昇し続ければ、いつかナスダック100の時価総額を超えてしまう!
では、何年後にそうなるのかを考えてみましょう。
時価総額の差
TQQQの時価総額はこちらから見ることができます。
https://finance.yahoo.com/quote/TQQQ?p=TQQQ&.tsrc=fin-srch
2021年3月6日現在、約100億ドルでした。
次にナスダック100の時価総額を求めます。
ナスダック100で最も大きな割合を占めるのはアップルで、時価総額は以下のページで見ることができます。2021年3月6日には約2兆ドルでした。
https://finance.yahoo.com/quote/AAPL?p=AAPL&.tsrc=fin-srch
このサイトによれば、QQQのうちアップルが占める割合は11.46%です。
したがって、ナスダック100市場全体の時価総額は約18兆ドルと計算できます。
以上より、ナスダック100の時価総額はTQQQの1800倍とします。
成長率の差
途中で経済危機がなくTQQQが順調に成長した場合を考えます。
過去10年(2011年ー2020年)のナスダック100とTQQQの成長率を、Portfolio Visualizerで見てみましょう。
青線がTQQQ、赤線がQQQです。

平均すると1年でTQQQは約1.5倍、QQQは約1.2倍になっています。
ということは、TQQQの成長率はQQQの1.25倍となり、1年あたりその倍率分だけ差が縮まることになります。
計算
これらの数字をふまえて計算します。
TQQQの成長率がこのまま続いた場合、N年目にTQQQの時価総額がナスダック100を超えるとします。計算式は
関数電卓を使って解くと、これを満たす最小のN=34となります。
計算上、34年後にはTQQQの時価総額がナスダック100を超えてしまうのです。
先物は現物株の数倍流通していますが、それでも膨張しすぎたTQQQはこうなる前のどこかで、ナスダック100の3倍の変動を起こせなくなるでしょう。
そしてTQQQのレバレッジが切り下げられる(例えば3倍→2倍)か、最悪償還になる可能性があります。
ただ安心していただきたい点として、おそらくこのシミュレーション通りにはならないでしょう。
いくら今のハイテクが強くても、ナスダック100が30年以上にわたって年率20%以上成長し続けることは考えにくいです。どこかで成長は緩やかになり、市場平均と同じくらいの年率6-7%に落ち着くかもしれません。
また数十年の間にどこかで暴落は来るでしょう。暴落でTQQQはナスダック100よりはるかに大きく下落するので、再びナスダック100との差が広がり、それを埋めるのにさらなる年月を要するでしょう。
まとめ
以上を踏まえると、私はTQQQが早期償還となる可能性は極めて低いと考えています。
TQQQの時価総額が膨張し続けた遠い将来にはレバレッジの低下または償還が来る可能性がありますが、私が投資を続けるこの先20-30年は大丈夫だと考えています。
ただし未来は不透明なので、TQQQをはじめとするレバレッジETFに投資するなら早めに始めた方がいいかもしれません。
参考にしていただければ幸いです。
投資はくれぐれも自己責任で。
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