株式投資

S&P 500に4倍のレバレッジは高すぎる

カガミルです。
レバレッジETFとビットコインに投資しています。

T&Dアセットマネジメント株式会社が

S&P500・4倍ブル型ファンド

の販売開始を発表しました。

有価証券届出書はこちらから見ることができます。

S&P 500の日々の値動きの概ね4倍程度となる投資成果を目指す

と記載されています。

S&P 500の3倍レバレッジETFとしてSPXLがありますが、それよりも高い4倍のレバレッジをかける投資信託が誕生することになります。

この投信に投資すべきでしょうか。

私なら投資しません。以上。

と言いたいところですが、それだけだと不親切なので理由を詳しく説明します。

以下、「S&P500・4倍ブル型ファンド」を「4倍ブル」と略して表記します。

4倍ブルで追証は発生するか

まず、4倍ブルに投資していて価格が0になることや、追証を食らうことはありうるでしょうか。

例えばこんな意見を見かけました。

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リーマンショック級の危機が起きたら、4倍ブルの価格が0になるのでは?

確かにリーマンショックの時、S&P 500はピークから50%以上下落しました。

しかしどのような経済危機が来ても、4倍ブルの価格が0になることや、追証が発生することはありえないと言ってよいでしょう。

以前、レバレッジETFで追証が発生しない理由を解説しました。

ここに書いたように、レバレッジETFでは1日ごとにレバレッジが元に戻るからです。レバレッジ投信も同じです。

確かに、S&P 500が1日で25%以上下落した場合は、4倍ブルの価格は0かマイナスになります。

しかし、S&P 500が前日終値から20%以上下落した場合にはサーキットブレーカーが発動し、その日の取引は強制終了となります。

仮にS&P 500が1日20%下落すれば4倍ブルは80%下落するので、例えば価格が10000円→2000円のようになります。しかし0になることや、追証が発生することはありません。

この点はCFDや信用取引とは違うので、安心できます。



4倍ブルのリターンを他のレバレッジと比較

4倍ブルのリターンを表す式

以前、L倍レバレッジETFのリターンを表す式を解説しました。

なお、この式が現実のレバレッジETFでほぼ成立することは確認済みです。

こちらがその式です。

このLに1, 2, 3, 4を代入すると、それぞれVOO, SSO, SPXL, 4倍ブルのリターンを表す式が得られます。

SSOはS&P 500の2倍レバレッジETFで、同じように動く投信も販売されています。

リターンを表す式は以下の通りです。

VOOの年間経費率はほぼ0であるため、c1 = 0とします。SPYやIVVもほぼ同じです。

過去の検証結果を踏まえ、c2 = 0.016, c3 = 0.0215とします。

4倍ブルの年間経費率は不明ですが、隠れコストを加えればSPXLと同等以上になると思われます。ここでは、c3と同じc4 = 0.0215としました。

なお、L倍レバレッジETFのリターンを自然対数に換算して以下のように表記することもできます。

自然対数に換算したレバレッジ1〜4倍のリターンはこのようになります。

自然対数に換算した方がきれいな形なので、こちらを用います。自然対数を取る前の式でも結果は同じです。



4倍ブルが勝つ条件

上の式を用いると、4倍ブルのリターンがVOO, SSO, SPXLに勝つ条件は以下のように求められます。

(端数は適宜四捨五入しています。)

このように、rが一定以上であれば4倍ブルはVOO, SSO, SPXLに勝つことがわかります。



必要なS&P 500の年利

では、r(すなわちS&P 500の配当込み年率リターン)がどれくらいあれば、4倍ブルが勝つのでしょうか。

具体的な数値で検証してみましょう。そのためには、S&P 500のσ(年率ボラティリティ)とb (米国3ヶ月債の利回り)を決める必要があります。

σを計算する方法は以下の記事で解説しました。

過去数十年のS&P 500のσを計算すると、だいたいσ = 0.20程度です。年によりバラツキはありますが、長期的にはこれくらいに収束するようです。

現在は低金利ですが、今後は金利の上昇が予想され、短期金利は1%、つまりb = 0.01とします。

これらの数値を用いて計算すると、以下のようになります。

ここで、

米国株の長期的な年平均リターン(インフレ調整後)は6.5-7.0%

とされています。

株式投資のバイブルであるジェレミー・シーゲル教授の「株式投資の未来」に書かれていて、ご存知の方も多いでしょう。


インフレ率が年2%とすると、米国株の年平均リターンは9%くらいです。

4倍ブルがレバレッジ1〜3倍に勝つには、それを上回るS&P 500のリターンが必要ということになります。なぜそれだけのリターンが必要なのでしょうか。

それは、レバレッジ4倍では減価が大きすぎるためです。

数式のσ^2の係数を見てください。レバレッジが2倍では”-1″、3倍では”-3″なのに対し、4倍では”-6″と減価の程度が大幅に増加します。

S&P 500が相当成長しないと、4倍ブルは減価に負けてしまい十分なリターンが得られません。



4倍ブルに投資すべきか

私は4倍ブルに投資しません。

長期投資するならレバレッジは2倍程度に抑えた方がいいということを、弊ブログでたびたびお伝えしています。レバレッジ4倍は高すぎます。

ここ10年はS&P 500が好調であり、2倍を超えるレバレッジをかければ、それを上回るリターンを得られました。

しかしそれは、GAMMATの急成長がS&P 500を大きく引き上げたためです。長い歴史をみれば勢いは一時的なもので、いずれ平均への回帰が起きると予想します。S&P 500の年平均リターンは10%未満になるのではないでしょうか。

そうなるとσやbにもよりますが、4倍ブルのリターンがVOOに劣る可能性は十分にあります。SSOやSPXLに劣る可能性はさらに高くなります。

よって長期投資では、よほど米国株の成長率が高いと予測しない限り4倍ブルに投資をしない方がいいでしょう。

では、短期投資ではどうでしょうか。

使えなくはありませんが、その場合でもSPXLで十分だと思います。

4倍ブルは投資信託であり、発注から約定までにタイムラグが発生します。当然指値、逆指値で売買することもできません。SPXLより高い4倍のレバレッジをかけられるというメリットがあっても、デメリットの方が大きいと思います。

それでも4倍ブルに投資したいなら、この記事の内容を十分に理解して適切な使い方をすることをお勧めします。

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