株式投資

SOXSをどう使う?インバースETFの特性とは

カガミルです。
レバレッジETFとビットコインに投資しています。

質問箱にこのような質問をいただきました。

https://peing.net/ja/q/65deb9af-f8f6-4026-ba90-abc54793e4a3

一部を抜粋します。全文を読みたい人はリンク先を参照してください。

要約すると、以下の戦略は有効かというものです。

SOXL 1000万円、SOXS 1000万円を購入する(両建て)。

相場が上昇してSOXLが2000万円を超えた場合、SOXSが0以下になることはない。

相場が下落してSOXSが2000万円を超えた場合、SOXLが0以下になることはない。

だからどちらの場合でも確実に利益が得られる。

SOXSは半導体のインバースETFであり、SOXLと逆の動きをします。これについては後ほど解説します。

さて、この両建て戦略で確実に利益が得られるでしょうか。

一見うまくいきそうですが、穴があります。

この記事では、まずSOXSについて、次にこの戦略の問題点について、最後にインバースETFをどのように使うべきかについて解説します。

SOXSとは

概要

正式名称

Direxion デイリー・半導体株・ベア3倍ETF
(Direxion Daily Semiconductor Bear 3X Shares)

SOXSはインバースETFの1つです。これは、基準となる指数の3倍だけ、逆の動きをするというものです。

基準指数は半導体関連のSOX指数なので、

SOX指数が上昇→SOXSは下落
SOX指数が下落→SOXSは上昇

となります。

このように、基準指数と逆に動くタイプのETFは、インバースETFまたはベア型ETFと呼ばれます。
同じ方向に動くのがブル型ETFです。

ご存知の方が多いと思いますが、
ブル(雄牛)は角を下から上に突き上げ、ベア(熊)は前足を振り下ろすことから、このように呼ばれます。

SOXSに対応するブル3倍ETFは、このブログでも取り上げているSOXLです。

SOXLもSOXSも、1日の変動率はSOX指数の3倍ですが、動く方向が逆です。

例えばある日のSOX指数が100で、SOXLとSOXSがともに100ドルだったとしましょう。

その日SOX指数が100→101と1%上昇すれば、理論上、

SOXL 100→103ドル(+3%)

SOXS 100→97ドル(-3%)

となります(経費や金利は無視するものとします)。

設定時期

設定されたのは2010年3月11日で、SOXLと同日です。

配当利回り

不定期に分配金を出していますが、インバース型ETFなのでインカムゲイン目的で持つものではありません。

経費率

1.11%です。レバレッジETFとしては妥当な水準ですが、SOXLの0.99%と比較すると若干高いです。

SOXSのパフォーマンス

設定開始の2010年3月11日から2020年5月28日までの価格推移を見てみましょう。

この期間はSOX指数が右肩上がりだったため、SOXS価格は一貫して下がり続けています。

驚くのは設定当初の価格で、なんと190万ドル台!

ただし実際に買うのにこの金額が必要だったわけではありません。

SOXSは価格が下がり続けたため、現在までに以下のように何度も併合(reverse-split)されました。

例えば1:5の併合であれば、SOXS 5株が1株にまとめられ、価格が5倍になったという意味です。

SOXSの併合歴

2011年2月24日 1:5

2013年8月20日 1:4

2015年5月20日 1 :4

2017年5月1日 1:5

2019年6月28日 1:10

2020年8月28日 1:12

Yahoo Financeより)

当初の48000株が10年で1株に併合されたことになります。
これに基づいて計算すると、設定当初のSOXS価格は40ドル強だったことになります。



SOXLとSOXS両建てのシミュレーション

それでは質問箱に寄せられた、SOXLとSOXSの両建て戦略が有効なのかを検証してみましょう。

最初、SOXLとSOXSを1万ドルずつ、計2万ドル持っているとします。

3つの異なる期間で検証します。

上昇相場(2010年台)

まずは、SOXSが設定された2010年3月11日から、2021年5月28日までで見てみましょう。
この期間は景気回復により株価が大きく上昇しました。

SOX指数、SOXL、SOXSをグラフにします。
比較しやすいよう最初の日を1に合わせています(以下のグラフも同じ)。

この期間でSOX指数は+792.2%と大幅に伸びました。SOXLも大幅上昇し、SOXSは先述の通り大幅に下落しました。

擬似SOXL +5771.3%

擬似SOXS 99.9999%以上下落

この期間で、SOXL+SOXSの評価額は、

2万ドル→58.71万ドル

と大幅に増えました。

両建て戦略をやっていたら、莫大な利益が得られたことになります。

下落相場(リーマンショック)

あいにくSOXLとSOXSは2011年に設定開始となっており、それ以前のデータがありません。

そこで、SOX指数から計算した擬似SOXLと擬似SOXSのデータを採用しました。

擬似SOXLの計算法はこちらで解説しています。擬似SOXSについても同様に計算しました。

そして、サブプライムローン問題からリーマンショックに至る、2007年7月17日から2008年末までの擬似データで見てみましょう。

グラフは以下の通りです。

この期間でSOX指数は61.2%も下落しました。それにより擬似SOXLが大きく下落し、擬似SOXSが大きく上昇しているのがわかります。

擬似SOXL -97.2%

擬似SOXS +311.5%

擬似SOXL+擬似SOXSの評価額は、

2万ドル→4.14万ドル

この相場でも利益が得られました。

失敗例(2004年以降)

今度は、2004年の1月初めにSOXLとSOXSを1万ドルずつ購入したケースです。

そこから2015年末までのSOX指数、SOXL、SOXSはグラフの通りになります(擬似データと実際のデータの両方を用いています)。

SOXL+SOXSの合計評価額の推移を下に示します。

2万ドルで始まった評価額は、一時的に2万ドルにタッチする期間もありますが、減少する一方です。

これは、逓減(減価)によるものです。

この12年間には上昇相場も下落相場もありましたが、SOXLとSOXSの価格上昇を逓減が打ち消してしまいました。

相場がどちらに動いても利益が出るという目論見は脆くも崩れ去り、2万ドルがわずか1400ドル程度になってしまいました。

その後も持ち続けたらどうなったでしょうか。

2020年12月末まで持ち続けてようやく2.45万ドルになりました。

最終的には利益が出たことになりますが、それは2010年台にSOXLが驚異的な上昇を見せたおかげであり、結果論と言えます。

保有期間が伸びるほど逓減による価格低下が大きくなり、元の評価額に戻らない可能性は高くなります。

まとめ

よって、質問箱に寄せられた質問の回答は以下の通りです。

・一方向(上昇または下落)に動けば利益が得られる。

・しかし相場が停滞すれば逓減により価格が下がる。

・長期間保有し続けるほど、損をする可能性が高くなる。

残念ながら両建て戦略は、確実に利益が得られる投資法とは言えません。



インバースETFをどう使うか

この記事ではSOXSを取り上げました。

インバースETFには他にも、

SPXS(S&P 500の3倍ベア)

SQQQ(ナスダック100の3倍ベア)

などがありますが、特性は共通しています。

インバースETFについて考察する前に、指数と同じ方向に動くブル型ETFについて考えましょう。

レバレッジETFの長期保有については意見が分かれるところであり、長期投資に否定的な人もいます。

カガミルは、指数が一定以上の成長率で右肩上がりである限り、レバレッジETFの長期投資は是と考えております。
そう考えて戦略「レバレッジド・コア・サテライト」を運用しているのです。

そもそもインデックス投資は指数が上昇し続けることを前提としており、その点はSOX指数もS&P 500もナスダック100指数も同じです。

では、これらの指数のインバースETFはどうでしょうか。

長期的に見ればどんどん下落していくことになります。
そればかりか、停滞相場やレンジ相場でも逓減(減価)により価格が下落します。

インバースETFで利益が得られるのは、相場が一時的に右肩下がりとなるなど、限られた期間のみです。

重要な点は以下に集約されます。

インバースETFは長期保有すべきでない。

インバースETFは、短期的な下落を予想する場合に限って買うべきです。

インバースETFにはメリットもあります。それはレバレッジETFと同じく、借金を負う可能性がない点です。

信用売りやCFD売りでは、指数が上昇した場合の損失が青天井であり、最悪追証を払う羽目になります。
インバースETFなら、予想が外れても価格が0になるだけであり安心です。

ただし長期保有は厳禁であり、短期の予想が外れたらさっさと損切りをすべきでしょう。

SOXSをはじめとするインバースETFは上級者向きだと思います。

「レバレッジド・コア・サテライト」で下落時にSQQQをうまく使えばさらにパフォーマンスを向上させられる可能性がありますが、使いどころが難しいため私は手を出すつもりはありません。

インバースETFは特性を理解した上で使うことをお勧めします。

参考になれば幸いです。

投資はくれぐれも自己責任で。

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ABOUT ME
カガミル
理三→東大医学部卒の医師です。 2019年生まれの息子の子育て中。 子育て、教育、東大医学部/医療、投資について発信します。

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