レバレッジETFとビットコインに投資しています。
長期投資をしている方なら、将来どの程度のリターンが見込めるかや、元本割れ確率を知りたいことと思います。
そこで、投資対象の年平均成長率と標準偏差から、将来のリターンの分布と元本割れ確率計算できるExcelファイルを作成しました。よかったらダウンロードしてお使いください。
投資対象のCAGRと標準偏差
例えばQLDで見てみましょう。ナスダック100指数の2倍レバレッジETFで、レバナスとほぼ同じ値動きをします。
Portfolio Visualizerで、QLDの設定以来のデータを見てみましょう。期間は2006年7月から2021年9月末です。

ここに表示されているCAGRとStdevを用います。
・CAGR: その投資商品の1年あたりの平均成長率
・Stdev: CAGRの標準偏差(≒ばらつき)
CAGRは1年あたりの「リターン」に相当します。
Stdevは投資の「リスク」に相当するものですが、リターンのばらつきのことであり、「危険性」という意味ではないことにご注意ください。
数学的なリターンの分布
ある投資期間における推定CAGR、標準偏差を以下のように文字で表示します。
CAGR: r (%)
Stdev: s (%)
投資期間: T (年)
ここで、μとσを以下の式で計算します。

μは対数正規分布に当てはめるために変換したリターンです。
σは、リスクの大きさを示す指標であるボラティリティです。CAGRやStdevと混同しないようにしてください。
初期投資額を1とした時のT年後のリターンXは対数正規分布を取り、以下のような確率密度変数f(x)で表されます。

f(x)の最頻値、中央値、平均値(期待値)、分散は以下の通りです。

例として、r = 7(%), s = 20 (%), T =10 (年)で計算してみましょう。
μ ≒ 0.0677, σ ≒ 0.185 となり、f(x)のグラフは以下のようになります。

最頻値 1.18
中央値 1.66
平均値(期待値) 1.97
(小数第3位を四捨五入)
f(x)は最頻値でピークを取ります。つまりリターンが最頻値となる確率が最も高いことになります。
数式とf(x)のグラフから以下のことがわかります。
最頻値は中央値より低く、中央値は平均値(期待値)より低い。
平均値(期待値)で見ると100万円が10年で197万円になることになりますが、リターンを過大に見積もってしまう傾向にあります。
確率が50%となる中央値の166万円の方が、より現実的なシミュレーションであり無難と言えるでしょう。控えめに予想するなら最頻値の118万円でもよいでしょう。
また、元本割れ確率も求めることができます。
元本割れ確率はx≦1におけるx軸とf(x)で囲まれる領域の面積に相当しますが、これは対数正規分布の累積分布関数で求められ、ExcelのLOGNORMDIST関数を用いました。
さらにリターンの上位10%、下位10%を求めるために、累積分布関数の逆関数であるLOGINV関数を用いました。
詳しい式はExcelファイルをご覧ください。
Excelファイル
シミュレーション用のExcelファイルはこちらからダウンロードできます。
1枚目のシートは以下のようになっています。

左上の枠内に初期投資額、CAGR、Stdev、期間を入力すると、右にリターンの分布のグラフが出ます。なおグラフのリターンは「初期投資額の何倍か」で表しています。
下にはリターンの最頻値、中央値、平均値(期待値)、上位10%、下位10%、元本割れ確率が表示されます。
2枚目のシートでは、μとσを自分で設定することができるようにしました。
レバナスの10年シミュレーション
最初に提示したQLDのデータを用い、Excelファイルで10年間のレバナスのリターンのシミュレーションをしてみましょう。
CAGRは26.62%, Stdevは36.52%でした。初期投資額を100万円とします。
リターンの分布と元本割れ確率は以下のようになります。

下位10% 226万円
最頻値 319万円
中央値 710万円
平均値(期待値) 1059万円
上位10% 2234万円
元本割れ確率 1.4%
素晴らしい結果となりました。
ただし注意点があります。
投資対象の過去のパフォーマンスが、そのまま将来に通用するとは限らない。
したがって過去データよりもリターンは低く、リスクは高く見積もってシミュレーションをすることをお勧めします。
ぜひ色々な数値でシミュレーションしてみてください。
投資に役立てば幸いです。
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