株式投資

レバナスのリターンがQQQに勝つ条件を示す数式

カガミルです。
レバレッジETFとビットコインに投資しています。

先日、「楽天レバナス」の設定開始が発表されました。

こちらの記事に書いた通り、今後は「大和レバナス」「楽天レバナス」「レバナス」と表記を使い分けたいと思います。

上のリンク先では、「レバナス」を以下のように定義しました。

「レバナス」…ナスダック100指数に2倍のレバレッジをかけたETF、投資信託全般。米国ETFであるQLD、大和レバナス、楽天レバナスに限らず、今後新しく販売されるかもしれないETFや投信を含む。

今回のタイトルにある「レバナス」は、QLDと大和レバナスのみを指しています。

ただ楽天レバナスや今後販売されるかもしれない投資信託が、QLDとほぼ同じ動きをするなら、概ねこの記事の内容が当てはまるかもしれません。

そのため上記の定義に従い、楽天レバナスを「レバナス」に入れてもよいものとします。

さて、レバレッジが2倍でもリターンが2倍になるとは限らないことは、レバナスに投資している方ならご存知だと思います。

レバナスをはじめとするレバレッジETFは、減価(逓減)によりリターンがじわじわ削られていきます。その結果、レバナスのリターンがQQQに負けるということは十分にありうるのです。

以下のことは感覚的にご理解いただけるのではないでしょうか。

QQQの成長が高い方が、レバナスのリターンが高くなることが期待できる。

当然レバナス投資家の方は、レバナスがQQQを上回ると期待しているから投資をするのだと思います。

ここで、疑問が生じます。

QQQの1年あたりの成長率が何%あれば、レバナスのリターンはQQQに勝てるのか?

この答えがわかれば投資判断の際に役立つので、本記事で検証しました。

モンテカルロ法による検証

まずは、QQQとレバナスの値動きのシミュレーションを行いました。

以下の記事に従い、ブラック・ショールズモデルから仮想QQQのデータを作成します。

ブラック・ショールズモデルで株価S(t)が従うとされる式です。

ブラック・ショールズモデルは株価がランダムウォークすることが前提となっており、現実の株価とは異なるという主張もあります。

ただスタンダードとして広く用いられているため、これを用います。

なお、μとσは定数であり投資期間中一定とします。

自分で設定したμとσから得られた仮想QQQのデータを元に仮想レバナスのデータを作成するのですが、金利や手数料も考慮に入れるため以下の記事に出てくる式を用います。

ただし、米国市場の営業日は1年のうち約250日です。この式は1年を365日としていること、前営業日からの日数がまちまちなことから、このままだとシミュレーションに使いにくいです。

そこで日数が250日になるよう変形します。同時に、QQQの配当込みリターンで計算できるようにしました。また見やすいよう文字を用います。

投資期間中の米国3ヶ月債の利回りを1%とするなら、b = 0.01です。c = 0.0165で、固定値です。

QQQには年0.20%の経費がかかるため、その分ナスダック100指数よりもリターンが小さくなるはずです。しかし実際に計算したところ、QQQの設定後からの1年あたりの平均経費は0.20%より小さいことがわかりました。

そこでQQQの経費は無視し、aとQQQ(配当込み)の日時変動率は等しいものとしま(もしQQQの経費率を考慮に入れるならcは0.0165よりも小さくなります)。

QQQとレバナスの一定期間後のリターン計算を求めるモンテカルロ法を行います。今回は10年(=2500日)で行いました。ある程度長い期間で行う方が誤差が少なくなるはずです。

ここで、QQQの年率平均リターン(配当込み)を自然対数に換算した数値を “r” とします。

あるμとσで10年間のシミュレーションを行ったところ、QQQの年率平均リターンが10%以上であれば全てレバナスが勝つものの、10%未満では全てQQQが勝つことがわかったとします。

この場合、レバナスがQQQのリターンを上回るのに必要なQQQのリターンの最小値は10%であり、対応するrは以下のように計算されます。

r = log(1+0.1) ≒ 0.0953

このようにして「レバナスがQQQに勝つために必要なrの最小値」を求めることができたら、新しく設定したμとσで再度行います。

例えば、(μ, σ) = (0, 0.14), (0.06, 0.14), (0.1, 0.14)のように、現実に近い組み合わせを選びました。

レバナスが勝つ場合、QQQが勝つ場合、両者がほぼ等しくなる場合と、様々なデータが得られました。

その過程で以下のことに気づきました。

レバナスがQQQに勝つために必要なrの値は、σに依存するが、μには依存しない。

そしてσとrの関係を分析する中で、レバナスがQQQに勝つ条件を見つけました。



導き出された計算式

以下が、レバナスのリターンがQQQのリターンを上回るためのrの条件式です(いずれも配当込み)。

なお、リターンの中央値を比較することでこの式を導くことができます。

ただしこの式は中央値だけでなく個別のシミュレーションにおいても当てはまり、その証明は私にはわかりませんでした。

この式に具体的な数値を代入してみましょう。

今後は短期金利は1%くらいだと考え、b = 0.01に設定します。金利は一定ではありませんが、投資期間中は平均これくらいだろうという数値に設定してください。

σ = 0.14とします。これは、QQQが安定して上昇した2011年から2020年までの10年間のリスクに近い数値です。

(先述した通り、μ = 0/0.06/0.10のいずれでも、最終的に求められるrの値は変わりません。)

rの条件は以下のようになります。

リターンを%で表すと、e^0.0461 ≒ 1.0472より、約4.72%となります。

よってσ = 0.14の場合、QQQの年率平均リターンは4.8%以上あればよいことになります。

実際のシミュレーションで出てきた、10年間のQQQとレバナスのグラフの例を挙げます。

QQQの年率平均リターンが4.8%付近では、QQQとレバナスのリターンはほぼ等しくなっています。それより大きければレバナスの勝ち、小さければレバナスが負けます。



具体的なQQQの成長率

上の式を用いて計算すると、σとrの関係は表のようになります。rに対応する%換算リターンも合わせて表示します。なお、b = 0.01とします。

σの目安は以下の通りです。

年単位で投資する場合、σ = 0.10以下になることはまずないと思います。

先述した通り、σ = 0.14は2011年から2020年までのQQQのリスクに近いため、安定相場における数値とお考えください。この場合は4.8%以上必要です。

σ = 0.20は、1985年から2021年9月までのナスダック100指数のリスクに近い数値であり、平均的なリスクと言えるでしょう。この場合は6.9%以上必要です。

σ = 0.25は、2001年からリーマンショック後までのQQQのリスクに近く、かなり不安定な相場の数値と言えるでしょう。この場合は9.4%以上必要です。

このようにσが大きくなるとその2乗に比例してrが大きくなり、QQQの必要リターンはどんどん上昇します。

もちろんこの先数年〜数十年のQQQのリスクはわかりませんが、過去データを元にσを決めれば、必要なQQQの成長率も推定できます。

また今は低金利ですが、今後金利が上昇しbが大きくなれば、QQQにはさらに高い成長率が求められることに注意が必要です。

以上のように、

QQQの年率平均リターンが一定の水準に達しなければ、レバナスに投資価値はない。

レバナス投資家の皆様、これから投資を考えている皆様は、QQQが「一定の水準」以上に成長するとお考えでしょうか。

そう信じているなら、QQQを上回ることが期待できるレバナスを買うもよし。確信が持てなければ、レバナスではなくQQQか全米株/全世界株のインデックスを買うもよし。

この記事を1つの判断材料にしてみてはいかがでしょうか。

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ABOUT ME
カガミル
理三→東大医学部卒の医師です。 息子が二人います。 子育て、教育、東大医学部/医療、投資について発信します。

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