レバレッジETFとビットコインに投資しています。
以前、レバナスとTQQQが、QQQを上回る条件式について解説しました。
今回は、TQQQとレバナスの比較です。
レバレッジ3倍とレバレッジ2倍のどちらがいいかについては色々な議論があると思いますが、この記事では「レバレッジ1倍に勝つにはどの程度のリターンが必要か」という観点で検証しました。
目次 (クリックでジャンプ)
条件の導出
L倍レバレッジETFのリターンを表す式を用います。この式はL ≧ 1で成立します。

両辺の自然対数を取り、以下のように書くこともできます。

TQQQのリターンがレバナスを上回る条件は以下のように表記できます。

①の式を解きます。

c2とc3は、レバナスとTQQQの1日の変動率を表す式を踏まえています。
ただし「レバナスがQQQに勝つ条件」の記事と矛盾がないよう、c2 = 0.016で統一します。そして、結果は大差ないと見て端数は無視しました。
②の式を解くと以下のようになります。

これは①の式から導かれた条件の両辺の自然対数を取ったものであり、意味するところは全く同じです。
まとめると条件は以下の通りです。

シミュレーションデータでの検証
レバナスとTQQQの仮想データを作成し、この条件が成立するかを確かめてみましょう。
シミュレーションのやり方はこの記事に書いています。
ただし、レバナスとTQQQのデータを作成する際は単純にNASDAQ100の日々の動きを2倍にするだけではなく、金利と経費を差し引く必要があります。
今回は、b = 0.01, σ = 0.20の場合のQQQの必要年率平均リターンを求めてみましょう。σ = 0.20は、過去のS&P 500のσの平均に近い数値です。
QQQの年率平均リターンが9.9%以上であれば、TQQQのリターンはレバナスを上回ることになります。
シミュレーションで出てきた10年間のグラフの例を以下に示します。今回は比較しやすいよう、QQQのグラフも合わせて提示します。

QQQの年率平均リターンが9.9%付近では、TQQQとレバナスのリターンはほぼ等しくなっています。それより大きければTQQQの勝ち、小さければTQQQが負けます。
パラメータを変えてシミュレーションを繰り返しましたが、いずれの場合もTQQQがレバナスに勝つ条件が成立していることがわかりました。
具体的なQQQの必要リターン
上の式を用いて計算すると、σとrの関係は表のようになります。rに対応する%換算リターンも合わせて表示します。なお、b = 0.01とします。

σの求め方は過去記事で解説しました。
σが小さければQQQの必要リターンは小さくて済み、TQQQの方がレバナスよりリターンが高くなる可能性は十分にあります。
しかしσがある程度大きくなると、必要なQQQの平均年率リターンは以下の傾向になります。
レバナスがQQQに勝つ
< TQQQがQQQに勝つ
< TQQQがレバナスに勝つ
σ = 0.20と平均的なリスクでも、TQQQがレバナスに勝つためにはQQQのリターンが10%も必要です。リスクがそれ以上ならさらなるリターンが必要です。
S&P 500の長期的な配当込みリターン(インフレ調整後)は6.5-7%と言われています。今は好調なQQQでも、今後年平均10%以上成長し続けるのはかなりハードルが高いのではないでしょうか。
よほど好調な相場が続くと予想できない限り、TQQQではなくレバナスへの投資が無難だと思います。特に3倍レバレッジETFに全資金を投じるようなことは、タイミングを見て短期間にとどめるべきです。
参考になれば幸いです。
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