株式投資

後方視的なリターンを最大にするレバレッジの計算法

カガミルです。
レバレッジETFとビットコインに投資しています。

S&P 500やNASDAQ100といったインデックスに何倍のレバレッジをかけるのが適切なのか、疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

弊ブログでは、株式にレバレッジをかけすぎるのは良くない、適切なレバレッジは高くても2倍程度であると、これまで述べています。

今回は、L倍レバレッジETFのリターンを表す式を用い、リターンを最大にするレバレッジLを計算してみます。

これは、レバレッジL倍のリターンを表す式を用いて、そのリターンを最大にするLを数学的に求める記事です。

未来のリターンの期待値を最大にする「最適レバレッジ」とは異なる点にご注意ください。

出発点となる式

L倍レバレッジETFのリターンを表す式は、過去に解説しました。

このΡ(L)を最大にするLを求めればいいのです。

ただこれだと指数が出てくるため、対数を取った以下の式を用います。

対数を取っただけなので、ρ(L)を最大にするLは、当然Ρ(L)も最大にします。

ρ(L)の方が簡単な形で議論しやすいので、この式を出発点とします。



リターンを最大にするLを求める

金利・経費の扱いについて

出発点となる式を再度書きます。

元の式は近似式ですが、議論しやすいよう右辺と左辺を等号で結びました。

以下では、

b (= 米国3ヶ月債の利回り)を金利

cL (=レバレッジL倍をかけるための年間経費率)を経費

と書く場合もあります。

ここで、

  • この式は、Lが整数でなくても成立する。
  • 金利と経費を0とすれば、この式は0 ≦ L < 1でも成立する。

もともとこの式はレバナス(L = 2)やSPXL(L = 3)のリターンを分析するための式で、Lを整数に限定していました。

しかしこの式は数学的に導かれるものであり、Lが整数でない場合や、Lが1未満の場合でも成立します。

例えばL = 1.5とすれば、

「1.5倍レバレッジETF」=1日の値動きがインデックスの1.5倍になるようにレバレッジをかけている

とみなすことができるからです。

よって、ρ(L)を連続なLの関数とみなすことで数学的に最大値を求めることができます。

ここで、問題が生じます。

  • L ≦ 1なら金利は0だが、L > 1なら金利がかかる。
  • 経費は定数ではなく、Lにより変わる。

S&P 500のレバレッジを変更する場合で考えてみましょう。

L ≦ 1の例としてVOO 50% +現金 50%というPFを挙げます(L = 0.5)。この場合、借金をしないので金利を払う必要はなく、b = 0です。またVOOの経費は0とみなしてよいので、cL = 0となります。

Lが最初に設定した数字から大きく離れないよう、PFを定期的にリバランスするという前提で考えてください(以下同じ)。

L > 1の例として、L = 1.5となるVOO 75%+SPXL 25%というPFを挙げます。

PF全体のレバレッジ計算法がわからない方はこちらの記事をご覧ください。

この先も同じような話が出てくるので、この記事をよく理解した上で進んでください。

このPFでは、SPXL 25%分に対応する金利と経費を払うだけでよいので、安くすみます。

しかしレバレッジを3倍かける場合(L = 3)、SPXL 100%というPFを組むことになり、全体に対する金利と経費を払わなければなりません。

過去に検証しましたが、SPXLやTQQQをはじめとする3倍レバレッジETFの年間経費率は、隠れコストなども含めると2%を超える水準です。経費は無視できません。

このように、Lの数値によって金利や経費が変わってしまうため、話が複雑になってしまいます。

そこでこの記事では、

  1. まずはシンプルに、金利と経費を0として計算する。
  2. 次に、金利と経費を含めた式で計算する。

という流れで解説します。



金利と経費を無視する場合

平方完成による求め方

この場合、Lが0以上であれば以下の簡単な式でリターンを表すことができます。

ρ(L)を以下のようにLの関数とみなして平方完成することで、ρ(L)を最大にするLを求めることができます。

微分による求め方

ρ(L)は上に凸の二次関数なので、微分をすることで最大値をとるLを求めることができます。こちらの方が計算は楽です。

当然両者の答えは一致します。

このようにして、リターンを最大化するLを求めることができました。



金利と経費を考慮する場合

ここからは少し複雑になります。

ここでは、レバレッジが1倍以上3倍以下の場合のみを考えます。

確かに、今後販売予定の4倍レバレッジ投信を使えば、3倍を超えるレバレッジをかけられます。

しかし、たとえ計算で求められたLが3倍を超えたとしても、リスクが高すぎるためお勧めしません。

よってここではレバレッジ最大でも3倍以下とし、以下の方法でLを調整します。

非レバレッジETFと3倍レバレッジETFを組み合わせれば、Lを1〜3の間で自由に設定できる。

例えばVOOとSPXLを組み合わせれば、S&P 500に対して1倍から3倍までの好きなレバレッジをかけられることになります。



具体例で見てみましょう。

過去記事での検証によると、SPXLの年間経費率は2.15%とするとつじつまが合うので、以下では(きりがよい数字にするため)0.022とします

TQQQなど他の3倍レバレッジETFでもほぼ同じと考えて差し支えありません。

まずは、レバレッジが2倍のPFにかかる経費を計算してみましょう。SPXLとVOOを半々にすればレバレッジを2倍にできます。

では、L倍のレバレッジをかけるための経費はどのくらいでしょうか(1≦L≦3)。

このような割合で組めばレバレッジをL倍にすることができます。

この年間経費率を式に代入します。今回は微分を用います。

レバレッジをかけるために必要な金利と経費の分、Lが低くなったことがわかります。



まとめ

まとめると、リターンを最大にするLは以下のようになります。



リターンを最大にするLの具体例

上の式を用いて、具体的にLを計算してみましょう。

問題

問題

以下のそれぞれにおいて、経費率を考慮した場合、リターンを最大にするレバレッジを求めよ。

ただし、投資期間中の米国3ヶ月債の利回りは1%で一定、またσも一定と仮定する。

① 年平均成長率(配当込み)が8%, σ = 0.20のとき。

②年平均成長率(配当込み)が12%, σ = 0.25のとき。

解答と解説

以上より、Lの具体例が求められました。

なお①の年平均成長率とσは過去のS&P 500に近い数字です。米国株の長期リターンはインフレ調整済みで6.5-7%とされているので、仮にインフレが2%程度とすると、インフレ込みのリターンは8-9%と考えられるからです。

②は過去のNASDAQ100の年平均成長率とσに近い数字です(ただし、ITバブル崩壊前後は除外)。

なおこれはあくまで過去のデータであり、今後のrやσがこれに近い数字になる保証はありません。その点はご理解ください。

今回は、rとσを決めた場合、(過去の)リターンを最大にするLの計算法について解説しました。

参考になれば幸いです。

皆様の応援が励みになります。
1日1回、クリック(↓)をよろしくお願いします。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA