レバレッジETFとビットコインに投資しています。
今回は、基準指数(レバレッジ1倍)の上昇に対応するレバレッジETFのリターンの上限について解説します。
例えば、
ナスダック100指数が30%上昇したら、レバナスとTQQQは最高でどれくらい上昇するんだろう?
といった疑問に答える記事です。
結論はこうなります。
この記事では数学的な証明も含めて解説しました。
レバレッジ2倍の場合
例として、ナスダック100指数と大和レバナスで考えます。
なお、為替変動はここでは考えないものとします。
さて、2倍レバレッジETFの場合、1日の変動率が基準指数の約2倍になることはご存知だと思います。実際には金利や経費もありさらに低くなります。
ナスダック100指数がある期間でa倍になった時、同じ期間でレバナスがa^2倍以上になることは理論上あり得ません。たとえ金利や経費が0であったとしてもです。
ナスダック100指数の値動きはタイムラグなしでレバナス価格に反映されるものとします。
例えば、日本市場が休場でレバナス価格への反映が遅れたようなケースは除きます。
このことは以下のように数学的に証明されます。

レバレッジ2倍のリターンの限界はa^2倍未満であることが示されました。
レバナスに限らず、他のレバレッジ2倍の商品でも同じ法則が成り立ちます。たとえばS&P 500に2倍のレバレッジをかけられるiFreeレバレッジ S&P 500などです。
基準指数がa倍になった時、
2倍レバレッジETF/投信の価格がa^2倍以上になることはあり得ない。
レバレッジ3倍の場合
今度は、3倍レバレッジETF/投信で考えてみましょう。
ナスダック100指数とTQQQで考えます。
TQQQの1日の値動きはナスダック100指数の約3倍ですが、金利や経費分低下します。
ナスダック100指数がある期間でa倍になった場合、同じ期間でTQQQがa^3倍以上になることは理論上あり得ません。たとえ金利や経費が0であったとしてもです。
証明は以下の通りです。

SPXLなど、他の3倍レバレッジETF/投信でも同じ法則が成立します。
基準指数がa倍になった時、
3倍レバレッジETF/投信の価格がa^3倍以上になることはあり得ない。
レバレッジL倍の場合(L > 1)
さらに一般化してレバレッジがL倍の場合を考えます。なおLは1より大きい数字とします。たとえばLが1.5とか2.2のような場合です。
レバレッジETFと非レバレッジETFを組み合わせて定期的にリバランスすることで、このようなレバレッジを実現できます。組み方の例については以下の記事をご覧ください。
基準指数がある期間でa倍になった場合、同じ期間で「レバレッジL倍」がa^L倍以上になることは理論上あり得ません。たとえ金利や経費が0であったとしてもです。
これを証明するにあたり、まずは以下の補題を証明とともに提示します。

この補題を利用し、以下のように証明します。

基準指数がa倍になった時、
「L倍レバレッジ」の価値がa^L倍以上になることはあり得ない。
具体例で検証
上で証明した法則が成り立っているかを、実際のデータで検証してみましょう。
ナスダック100指数とQLDのデータを用います。QLDはナスダック100指数の2倍レバレッジETFで、大和レバナスとほぼ同じ値動きをします。
コロナショックの底である2023年3月20日の両者の価格を1とし、そこから2021年8月末までのデータをグラフで示します。

比較しやすいように”ナスダック100指数の2乗”のグラフも示しましたが、QLD価格はこれを常に下回っていることがわかります。
例えば2020年5月14日時点では
ナスダック100指数 +30.0%
QLD +64.4%
上昇率を比較すると、64.4% > 30.0% × 2
ですが、
となり、確かに法則が成り立っていることがわかります。
L倍レバレッジETFのリターンを表す式から
この記事を公開後、L倍レバレッジETFのリターンを表す式とその証明がわかりました。

この式自体が、Ρ(L)、すなわちL倍レバレッジETFの価格がR^L倍以上にならないことを示しています。式で表現すると以下の通りです。

今回はレバレッジETFのリターンの上限について、数学的証明を交えて解説しました。
参考になれば幸いです。
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