株式投資

レバレッジETFの「減価」の誤った解釈

カガミルです。
レバレッジETFとビットコインに投資しています。

(2021年4月28日追記)

この記事で解説した「減価」は、「上下変動の複利により現れる価格低下」を見たものに過ぎず、レバレッジETFの減価とは全く意味が異なるものです。

本当の意味でのレバレッジETFの減価は「レバレッジETFの中身の減少」とでもいうべきものであり、別途記事を書きました。

別記事の通り「インデックスは減価せず、レバレッジETFは減価する」が正しいです。

読者の皆様を混乱させてしまったことをお詫び申し上げます。

本記事では「インデックスもレバレッジETFも減価する」と解説していますが、これはレバレッジETFの減価についての間違った議論の例としてあえて残しておくことにしました。


この記事のタイトルを見て驚かれた方もいらっしゃるかも知れません。

読者様

レバレッジETFがレンジ相場で減価するのは常識なのに…。

何言ってるんだろ、この人?

はい、確かにレバレッジETFは「減価」します。
しかし、それはまやかしなのです。
読者様

???

余計意味がわかりませんよね😓

常識に反するためなかなか納得していただけないかも知れませんが、ぜひ記事を読んだ上でご判断いただきたいと思います。

「減価」についての疑問

いわゆる「減価」とは

まずは、レバレッジETFのいわゆる「減価」について説明したいと思います。

レバレッジETF投資家なら一度は聞いたことがあると思います。

以前の記事から引用します。

ここでは、QQQとそのレバレッジETFであるTQQQを比較しています。

「減価」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは以下の「レンジ相場」のような状況でしょう。

(あえて極端な変動をさせて動きを見ていることにご注意ください。また経費は無視しています。)

レンジ相場で

QQQの価格:100→110→100→90→100

TQQQの価格:100→130→94.5→66.2→88.2

なるほど、確かにQQQは4日後に元に戻っているのに対し、TQQQは約12%も下落しています。

一部の投資家

レンジ相場ではこんな風にレバレッジETFの価格はどんどん下がる。これが減価だ。

だからレバレッジETFは長期投資に向かない。

こんなことがまことしやかに言われます。

少し掘り下げて考えてみましょう。

今度はレンジ相場における1日ごとのQQQとTQQQの動きを図で示します。価格は考えないことにしましょう。

TQQQは毎日、QQQの3倍変動してます。

おかしいと思いませんか?

両者は動く幅こそ違いますが、常に同じ方向に動いています。なのに、

なぜインデックスには「減価」が生じず、レバレッジETFだけに「減価」が生じるのか?

以下、解説します。

疑問の正体

私は、レバレッジETFの「減価」を以下のように捉えています。

レバレッジETFの「減価」は、

レバレッジETFにとってあえて不利な条件で

レバレッジETFとインデックスの価格を比較することによってのみ顕在化する。

実は上の例にはあるからくりがあります。1日の変動率は、

+10%, -9.09%, -10%, +11.11%

と、きりの悪い不自然な数値になっています。

そこで1日の変動率を

+10%, -10%, -10%, +10%

としてみましょう。

この数字で計算すれば、4日後のQQQの価格は98.01です!

QQQは初日と比べて「減価」しているのです!

実は、QQQが減価していないように見えたのは、

わざと1日の変化率を、QQQが低下しないように設定した

というトリックがあったためです。

もう1点、根本的な問題があります。

そもそもレバレッジETFの「減価」を議論する場合、ほぼインデックスと比較しています。

先ほど、

なぜインデックスには「減価」が生じないのか?

という疑問を提示しましたが、

そもそも比較の対象が自分自身なら、減価しなくて当たり前です。

そして、いくらでもインデックスにとって都合のいい状況を設定することができるのです。

私が考える適切な解釈は以下の通りです。

上下変動によりインデックスもレバレッジETFも「減価」する。

ただし、レバレッジETFは変動幅が大きい分インデックスより「減価」の幅が大きい。

インデックスもレバレッジETFも動く方向は同じで幅が違うため、その結果生じる「減価」の幅が違うという解釈です。

このようにレバレッジETFの「減価」は、「上下変動時の価格推移をインデックスと比較する」という限定された状況下でのみ顕在化するものであり、レバレッジETFの一側面に過ぎません。

それでも中には、

一部の投資家

そうはいっても、レバレッジETFがインデックスを下回ることに変わりはない。

長期で持てばパフォーマンスがどんどん下がってしまう!(キリッ)

と反論する人がいるかもしれません。

そこで、

「減価」があるからレバレッジETFは長期投資に向かないのか?

という疑問について考えてみましょう。



レバレッジETFの「増価」

ここで、S&P 500とSPXLの長期パフォーマンスを比較します。

2009年1月から2021年3月までのS&P 500(水色)とSPXL(青)のチャートを見てみましょう。

パフォーマンス

S&P 500:約5.6倍

SPXL:約35.0倍!

パフォーマンスはSPXLがS&P 500を圧倒しています。

さて、SPXLのチャートに、「減価」は見えるでしょうか?正直私には見えません。

コロナショックなどでSPXLは大きく下落していますが、これはインデックスそのものの大きな下落に対応したものなので、いわゆる上下変動による「減価」とは異なります。

実際この期間中には1年以上に及ぶレンジ相場があったのですが、SPXLの「増価」が圧倒的に上回った結果、「減価」が埋もれています。

全体を通してみると、「減価」は全く問題にならないように見えます。

このように、インデックスの方が有利な相場もあれば、レバレッジETFが有利な相場もあります。

なのに、レバレッジETFの「減価」をやけに強調し、長期投資には向かないと決めつける人すらいます。

「減価」を理由にレバレッジETFはインデックスに劣ると言うのは、

ウサイン・ボルトをフルマラソンに出場させて「足が遅い」と言うようなもの

ではないでしょうか。

なお注意点として、レバレッジETFは長期なら確実にインデックスを上回るというわけではありません。その好例が擬似SOXLなので、未見の方はぜひ下の記事もご覧ください。



「減価」より適切な用語とは

ここで、「減価」という言葉をより適切な言葉に替えたいと思います。

インデックスが上昇トレンドになれば、レバレッジETFはそれ以上に上昇します。これは「増価」と呼ぶのが適切でしょう。

減価をこの対義語にするなら、インデックスが下落トレンドになりレバレッジETFがそれ以上に下落した状況を指すのがよいでしょう。

そして、従来「減価」と呼ばれることが多かった現象、すなわち「上下変動によりレバレッジETFの価格が相対的にインデックスより低くなること」は、「逓減」と呼ぶことを提案します。

まとめると以下の通りです。

レバレッジETFの用語

増価:インデックスが上昇し、レバレッジETFがそれ以上に上昇すること

減価:インデックスが下落し、レバレッジETFがそれ以上に下落すること

逓減:インデックスの上下変動により、レバレッジETFがインデックスから下方に乖離すること

これなら「減価」と「逓減」を明確に区別でき、より適切な表現だと思います。以下ではこの表現を用います。

先ほどの図は増価、減価、逓減に対応させることができます。

そして、レバレッジETFに投資するなら増価、減価、逓減についてしっかりと理解する必要があります。

例えば、逓減=レバレッジETFの価格下落とは限りません。

レバレッジETFの価格が上昇し、かつ(インデックスと比較しての)逓減が生じるということもありうるのです。



インデックス投資は絶対か?

上記の通り、レバレッジETFはインデックスと比較して1日あたりの値動きの幅が違うだけです。しかしその結果、両者は似て非なる物になるのです。

ここで、以下の根本的な疑問を考えます。

なぜレバレッジETFのパフォーマンスをインデックスと比べるのか?

大きな理由は

インデックス投資がスタンダードだから

でしょう。

確かに多くの投資家が推奨している通り、インデックス投資は有効です。

いいえ、正確には「有効でした」。過去200年間はそうでしたし、おそらく今後数十年はそうでしょう。

しかし米国人口も世界人口も、2050年以降のどこかで減少に転じるとの予測があります。

今の日本は人口減少社会であり、株価はバブル期のピークを超えられていません。

少子化は文明の進歩による必然の結果です。全世界で少子化が進んで人口動態が「日本化」したら、株価が維持できるでしょうか。

米国をはじめとする各国は株価を維持しようと、金融緩和をはじめとするあらゆる対策を取るでしょう。しかし今の日本のようにゼロ金利が慢性化して効果がなくなり、対策の甲斐なく株価の上昇が止まる日が来ると思います。私が生きているうちは大丈夫だとしても、100年後か200年後か、いつか必ず来るでしょう。

そうなると、インデックス投資はもはや成り立たないでしょう。

いわば、インデックスそのものが上下変動を繰り返しながら逓減する。

個別株を選ぶ目を養うか、インデックスのスイングトレードをしなければならない時代になるかもしれません。

後者の場合、インデックスとレバレッジETFは逓減の大きさが違うだけの存在となり、投資法が似通ってくるかもしれません。

インデックス投資を絶対的なものと見なし、レバレッジETFのパフォーマンスをそれと比べることには、本質的な意味はないかも知れないのです。

誤解なきよう付け加えますと、レバレッジETFとインデックスを比較するなと言いたいわけではありません。

ただし両者のパフォーマンスを比較するなら、時期、期間の長さ、相場状況など、様々な観点から比較することが重要だと思います。



レバレッジETFの正しい理解を

私はこの記事のタイトルに、あえて「まやかし」という表現を用いました。

その理由は、

逓減を理由にレバレッジETFを否定する人があまりに多いから

です。

レバレッジETFは逓減するという話には説得力があり、これを聞いた人はレバレッジETFへの投資を諦めるかもしれません。

しかし物事はメリットとデメリットの両方の観点から比較すべきあり、そのバランス感覚も必要です。

レバレッジETFの逓減だけを見て、

レバレッジETFはレンジ相場で逓減するから長期投資はダメ!

と主張するのは極端すぎます。

一方、増価だけに目を奪われて逓減や減価を軽視し、

レバレッジETFの逓減なんて無視していい。どんな相場でもガチホしてれば金持ちになれる!

レバレッジETFを買わない奴は情弱www

などと言うのは勧められませんし、最悪退場につながる可能性もあります。

私の意見をまとめます。

レバレッジETFはレンジ相場では逓減する上、リーマンショックのような経済危機では大幅に減価して元の価格に戻らない可能性がある。

しかし上昇相場では逓減や減価をかき消すほどの増価を見せ、インデックス投資を大幅に上回るかもしれない。

相場の状況を見ながら投資の可否を判断して有効に使うことで資産増加を加速させることができる。

もちろん、考えた結果レバレッジETFに手を出さないのは全く問題ありません。

読者様がメリットとデメリットをよく理解された上で、レバレッジETFへの投資により利益を得られることを祈っております。

投資はくれぐれも自己責任で。

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ABOUT ME
カガミル
理三→東大医学部卒の医師です。 2019年生まれの息子の子育て中。 子育て、教育、東大医学部/医療、投資について発信します。

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