レバレッジETFとビットコインに投資しています。
私のメイン戦略はこちらで紹介している「レバレッジド・コア・サテライト」です。
このサテライトのLECポートフォリオに、必ず少しは現金を入れています。
それは、現金を持つことで戦略の幅を広げることができるからです。
この記事では、レバレッジETFへの投資において現金を生かす方法を解説します。
目次 (クリックでジャンプ)
レバレッジ投資における現金
レバレッジ2倍のポートフォリオ
最近レバナス(iFreeレバレッジNASDAQ100)が人気です。
そこでレバナスと同じくナスダック100指数に2倍のレバレッジをかけるポートフォリオ(PF)を考えます。
レバレッジ計算についてはこの記事で解説しています。
TQQQと現金を下図のBのように組み合わせれば、レバレッジが2倍になります。弊ブログでLECポートフォリオと呼んでいる形です。
Aはレバナス(または2倍レバレッジETFのQLD)が100%のPFです。

計算しやすいように最初の金額は両方とも300万円とし、為替変動はないものとします。
相場が動いた時にA, Bがどうなるかを見てみましょう。
上昇相場における変化
まずはナスダック100指数が20%上昇した場合を考えます。
レバナスとTQQQは以下の通りに上昇したとします。
レバナス +32%
TQQQ +50%
上の数字はあくまで一例で、必ずこうなるわけではありません。
実際にはレバナスとTQQQの上昇率はナスダック100指数が上昇するまでの変動の大きさや時間などによって変わります。たとえば減価が起きればこれより低くなります。
AとBは以下のように変化します。

可能であればご自身でレバレッジを計算してみてください。
Aではレバレッジは2倍のまま変わりません。一方Bではレバレッジが2.25倍と上昇しています。
これは、TQQQの価値が上昇しても現金の価値が変わらないためです。
そしてレバレッジが高くなることにより、Bの方がリターンが高くなる傾向があります。
このようにレバレッジETFと現金を組み合わせることで、
相場が上昇すれば自動的にPFのレバレッジが上がる
という状態を作り出すことができます。
またBでは以下のように、上昇するたびに利確してPFのレバレッジを下げることができます。手持ちのTQQQが尽きない限り無限利確ができることになります。

Aは常にレバレッジが2倍のままなので、このようなことはできません。
下落相場における変化
次に、ナスダック100指数が下落した場合を見てみましょう。
ナスダック100指数がリーマンショック並みに50%下落したとします。レバナスとTQQQは以下のように下落したとします。
レバナス -80%
TQQQ -95%
かなり大きな下落ですが、リーマンショック時の実際のQLDや計算上のTQQQのデータはこれくらいになります。
AとBは以下のように変化します。

Aは常にレバレッジが2倍だったためもろに下落の影響を食らい、80%も下落してしまいました。
一方Bでは300万円→110万円と63.3%の下落で済んでいます。レバレッジは2倍→0.27倍と、レバレッジが下がっていることがわかります。
TQQQの価値が下落しても、現金の価値は変わらずPFをガードしてくれました。
このように、レバレッジETFと現金を組み合わせることで、
相場が下落すれば自動的にPFのレバレッジが下がる
という状態を作り出すことができます。
さらに弊ブログのLECポートフォリオの記事でも紹介したように、下落時には無限ナンピンが可能です。

(TQQQの割合が50%に下がった時にナンピンした場合)
Aのようにレバナスに全力投資をしている場合は、資金を追加しない限りこのようなことはできません。
リバランスの必要性
以上を見ると、TQQQ+現金はあらゆる面でレバナスに勝るように感じられるかもしれません。
しかしTQQQ+現金というPFには欠点もあります。それはリバランスが必要ということです。
Bを放っておくとレバレッジが2倍からどんどん離れていくので、どこかでリバランスが必須です。一方Aのレバレッジは常に2倍で一定なので、リバランスは一切必要ありません。
定期的にリバランスをした場合、AとBのリターンはどうなるでしょうか。
Portfolio Visualizerで確認してみましょう。レバナスはQLDで代用します。

時期は2011年1月から2021年7月末です。Bのリターンが最大となる3ヶ月に1回のリバランスの場合です。リバランスの頻度が月1回、半年に1回、年1回だとリターンはかえって低くなります。
一見、A(青)とB(赤)のリターンはほとんど同じに見えますが、以下の理由によりBの方がリターンが低くなります。
Portfolio Visualizerの現金(CASHX)のリターンは米国の金利(銀行預金でいうところの利子)も含んだ数値であり、金利がない場合にはBのリターンがさらに下がる。
リバランスの際にはTQQQを「枚」の単位でしか買えないため、どうしても端数が生じる。
リバランスする際に売却益が生じれば税金を支払わなければならない。
このようにリバランスはBのリターンを押し下げてしまうのです。
よって、LECポートフォリオにはメリットだけでなくデメリットもあるという点は理解しておく必要があります。
レバレッジをかけない場合
では、レバレッジをかけない(1倍以下)の場合はどうでしょうか。
レバレッジETFと現金を組み合わせてもレバレッジ1倍以下のPFは作れます。
以下のように構成したレバレッジ1倍のPFを、C, D, Eとします。

レバレッジ2倍の場合と同様、DとEは下落相場でレバレッジが低下し下落を抑えられますし、上昇相場ではレバレッジが上昇しリターンがCを上回ります。
では、DやEのようなPFを組むべきでしょうか。
私はお勧めしません。
レバレッジが1倍以下の場合はCのように非レバレッジETF(ここではQQQ)のみで構成するべきです。
その最大の理由は減価です。
非レバレッジETFならどういう相場でも減価しません。
一方レバレッジETFでは毎日の上下変動により多かれ少なかれ減価が発生するので、DやEのようなPFはその影響を受けます。相場が停滞すればボディーブローのようにじわじわ効いてきます。
先に出てきたAとBは両方とも減価する投資商品(レバナスとTQQQ)を用いているため、この点が問題となりませんでした。
しかし、今回のケースでは減価を避けるためにも非レバレッジETFを使うべきです。
加えて、レバレッジETFを使えばリバランスによりリターンが低下しますし、レバレッジETFの信託報酬も払わなければなりません。
以上より、レバレッジが1倍以下ならレバレッジETFを使わず、素直に非レバレッジETF(+現金)のPFにすべきです。
まとめ
・レバレッジETFに現金を組み合わせることで、
上昇相場では自動的にレバレッジが上昇してリターンが上がり、無限利確もできる。
下落相場では現金のおかげで自動的にレバレッジが下がり損失を抑えることができ、無限ナンピンもできる。
ただしリバランスによりリターンが押し下げられる。
・レバレッジが1倍以下なら、減価や手数料が問題となるレバレッジETFを使うべきではない。
以上のように、レバレッジETF投資家は現金のメリットをうまく生かしてみてはいかがでしょうか。
投資はくれぐれも自己責任で。
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いつもためになるブログをありがとうございます。私はSPXL、レバナス、ダウ3レバをそれぞれキャッシュ半分の50:50で持ち、±3%リバランスと指数前週比▲5%時に60:40に変更、回復したら50:50に戻しさらにマイナスなら70:30というシステム運用をしています。そこで質問があります。キャッシュをGLDやTMFに置き換えれないかと考えており、リターンとリスクのバランスに悩んでいます。カガミルさんはどう思われますか。
コメントありがとうございます。
私が現金を保有しているのは純粋な意味でゼロリスク資産だからです。ゴールドが将来上昇すると見込んでいるならゴールドでもいいと思いますが、不況時に株と同時に下落する可能性もあると思います。TMFは低金利で上昇余地が限られると思うので私は投資しません。
参考になれば幸いです。
一部補正します。指数はSPY、ナスダック100、ダウのレバがかかってないのもになります。
更に修正します。SPYではなくSPXです。