投資戦略「レバレッジド・コア・サテライト」を運用しています。
「レバレッジド・コア・サテライト」はこちらで解説しています。
コアの部分は、ナスダック100の2倍レバレッジETFであるQLDです。
これと似た投資信託で、日本の証券会社で買える「iFreeレバレッジNASDAQ100」というものがあります。
今回はこの投資信託について、QLDとの比較も含めて解説します。
目次 (クリックでジャンプ)
iFreeレバレッジNASDAQ100とは
大和アセットマネジメントが販売している投資信託です。
詳細はこちらのページをご覧ください。
という商品です。
設定開始日:2018年10月19日
購入時手数料:販売会社が定める率で上限2.2%だが、ネット証券では無料
年間の経費率:0.99%(税込)
純資産総額:約500億円(2021年1月26日現在)
値動きはQLDと似ていますが、iFreeレバレッジNASDAQ100は
為替ヘッジあり
という重要な特徴があります。
後述の通り、これはメリットになる場合もデメリットになる場合もあります。
iFreeレバレッジNASDAQ100とQLDの比較
パフォーマンス
まずはiFreeレバレッジNASDAQ100の設定日以降のパフォーマンスを、QLDと比較します。
なお先述の通り、iFreeレバレッジNASDAQ100は「為替ヘッジあり」の商品です。
そのため為替換算をせず、iFreeレバレッジNASDAQ100は円のまま、QLDはドルのまま比較します。
アメリカも日本もそれぞれの祝日には休場するので、日付を合わせてチャートを作成すると以下のようになります。

(いずれも開始日を1とする)
両者は極めて近い動きをすることがわかります。
開始日から2020年12月30日までのリターンは以下の通りです。
iFreeレバレッジNASDAQ100の方がわずかにQLDを上回っています。経費率はQLDの方が0.95%とわずかに低いにも関わらずです。
もっともこの傾向が今後も続く保証はなく、あくまで一時的なものかもしれません。
ただこれまでのパフォーマンスを見る限り、iFreeレバレッジNASDAQ100がQLDより明らかに劣るということはなさそうです。
経費率
年間の経費率を比較します。
iFreeレバレッジNASDAQ100の経費率は一般的なレバレッジETFとほぼ同等の水準で、良心的と言えるでしょう。
なお両者は先物を用いてナスダック100の2倍の変動をさせるため、信託報酬以外に金利も負担するという点も共通しています。
流動性
iFreeレバレッジNASDAQ100は1日に1度価格が決まり、その価格でしか購入や売却ができません。注文をしてから約定するまでにはタイムラグが生じ、約定するまでは時価がわからないのです。
さらに休日、特に連休中に一切取引ができないという問題もあります。
例えばゴールデンウィークの数日間、iFreeレバレッジNASDAQ100は購入も売却もできませんでした。もしもこの期間に米国市場が大きく動いても、取引するには次の営業日を待つしかないのです。
一方QLDは相場が開いていればリアルタイムで価格が決まります。注文も成行、指値、逆指値と好きなようにできます。
時価総額も比較します。
先述の通り、2021年1月26日現在、iFreeレバレッジNASDAQ100の純資産総額は約500億円です。
同じ日のQLDの純資産総額は39.4億ドル、平均出来高は1,717,970でした。その日の平均価格が125ドルとすると、売買代金は約2億ドルとなります。個人投資家にとっては十分と言えるでしょう。
このように、流動性はQLDの圧勝です。
コロナショックでは問題になりませんでしたが、iFreeレバレッジNASDAQ100は流動性の低さから、相場が急激に動いた時に本来の価格から大きく乖離する可能性があります。
為替の影響
QLDはドル建てなので、為替の影響をもろにうけます。すなわち
円高 → 円での評価額が下落
円安 → 円での評価額が上昇
一方iFreeレバレッジNASDAQ100は「為替ヘッジあり」のため、為替の影響が軽減されます。
(販売会社も告示していますが、為替の影響を完全に排除できるわけではありません)
これは、円高になっても為替差損が出にくいことを意味します。
先ほどのグラフでは2つの商品の価格がほとんど変わりませんが、この期間は円高が進んでします。もし「為替ヘッジなし」だったら、iFreeレバレッジNASDAQ100の価格はもっと下がっていたのです。
この期間は「為替ヘッジあり」のメリットが発揮できたと言えるでしょう。
一方、もしこの期間円安が進んでいたとしたら、iFreeレバレッジNASDAQ100は為替差益を逃したことになります。
QLDの場合、評価額はドル表示の通りであり明確です。
このように為替ヘッジにはメリットとデメリットがあり、ご自身のポートフォリオの全体像を踏まえてどちらが望ましいかを考える必要があります。
特定口座で買えるか
iFreeレバレッジNASDAQ100の大きなメリットは、特定口座で購入できるということです。
そのため税金関連の手続きで有利です。
一方QLDは国内の大手証券会社(楽天証券、SBI証券、マネックス証券)では買えず、サクソバンクか海外証券会社で買うことになります。
一般口座で買うしかないため、利益や損失が出た場合は確定申告が必須です。
残念ながら見込みはなさそうです。
経済危機でのリスクについて
QLDがITバブル崩壊に遭遇した場合にどの程度下落するかを、こちらの記事でシミュレーションしました。
iFreeレバレッジNASDAQ100にも同程度のリスクがあることを、投資するならぜひとも知っておくべきでしょう。
iFreeレバレッジNASDAQ100で追証は発生する?
結論として、FreeレバレッジNASDAQ100が発生することはあり得ません。
3倍レバレッジETFで追証が発生しない理由はこちらに記載しています。
3倍レバレッジETFの価格がマイナスになるためには1日で33.4%以上下落する必要がありますが、サーキットブレーカーがあるためそこまでの下落はありません。
レバレッジが2倍のiFreeレバレッジNASDAQ100の価格がマイナスになるのは1日で50%を超える下落があった時ですが、同様にサーキットブレーカーがあるため起こり得ません。
追証の心配をせずに済むのは大きなメリットと言えるでしょう。
iFreeレバレッジNASDAQ100とQLDのどちらに投資すべき?
まず投資する前に、レバレッジをかける必要があるかどうかをよく検討してください。QQQのパフォーマンスで満足できるならあえてレバレッジをかける必要はないでしょう。
その上で2倍のレバレッジをかけたいのならどちらかが選択肢になります。
ここまで述べたことを踏まえ、私のお勧めは以下の通りです。
- どうしても特定口座で買いたい。
- 為替ヘッジを行い為替の影響をなるべく受けないようにしたい。
- 日本円で端数が出ないように買いたい(例:1万円分購入するなど)。
- 海外証券会社を使いたくない。
- いつでも購入や売却ができるようにしたい。
- 歴史が長くて安心できる対象に投資したい
- ドル資産として持ちたい。
- 指値や逆指値で注文をしたい。
- 確定申告ができる/すでにやっている
- サクソバンク証券など、購入できる口座を持っている。
私もこの記事を書くまで認識していなかったのですが、
と考えます。
私はQLDに投資をしていますが、iFreeレバレッジNASDAQ100の方が有利だと感じる方もいらっしゃるでしょう。
上記のポイントを踏まえ、ご自身にあった商品を選んでいただくのがベストだと思います。
今回はiFreeレバレッジNASDAQ100について解説しました。
購入のハードルは低いですが、レバレッジをかけた投信でありリスクには十分注意が必要です。
参考になれば幸いです。
投資はくれぐれも自己責任で。
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