攻めのレバナス、守りのオルカン
レバレッジETFとビットコインに投資しています。
今回は、Twitterで相互フォローさせていただいているひよのさんの「ひよのPF」を紹介します。
リターンを高める方法の1つに、レバレッジをかけるというものがあります。
私自身はレバレッジETFへの投資に慣れていますが、これまでインデックス投資の経験しかない方にとって、レバレッジ投資をいきなり取り入れるのはハードルが高いかもしれません。
ひよのPFであれば、インデックス投資の延長で少しずつポートフォリオのレバレッジを高めていくことができます。これに慣れることでレバレッジETFも扱えるようになるでしょう。
インデックス投資を超えるリターンを狙いたい方にとって扱いやすいポートフォリオだと思います。
目次 (クリックでジャンプ)
ひよのPFとは
こちらが「ひよのPF」です。

eMAXIS Slim全世界株式 70%
iFreeレバレッジNASDAQ100 30%
ここから先は以下の略語を用います。
eMAXIS Slim全世界株式 = オルカン
iFreeレバレッジNASDAQ100 = レバナス
全世界株式投資信託で最も人気のあるオーソドックスなオルカンと、
AIの時代、成長が期待できるナスダック100に2倍のレバレッジをかけたレバナス
そんな、「守り」と「攻め」のポートフォリオです。
レバナスについては過去記事で解説しています。
PF全体のレバレッジは
1×0.7 + 2×0.3 = 1.3(倍)
となります。
なおレバレッジの計算法はこちらの記事をご覧ください。
100万円分のひよのPFを持った場合、全世界株式に70万円、ナスダック100に60万円の投資に相当します。
ひよのPFは1.3倍という低レバレッジです。これならインデックス投資から切り替えたばかりの人にとっても、それほどストレスなく運用できるのではないでしょうか。
このように、
という投資は、インデックスが右肩上がりである限りリターンを高められる良い方法だと思います(もちろんリスクも少し高くなります)。個別株の銘柄分析が不要なのも扱いやすい点です。
なおレバレッジETFが100%のポートフォリオを作ればレバレッジは3倍にすることもできますが、それは狂人の域です(笑)
私の投資戦略「レバレッジド・コア・サテライト」でもレバレッジは平均2倍前後で運用しています。多くの人にとってはレバレッジは1.5〜2倍程度に留めた方がよいと思いますし、投資経験が少ない人はなおさらです。
ひよのPFのアレンジ
上がひよのPFの基本形ですが、ご自身の投資スタイルによってアレンジすることもできます。
オルカンの代替案
全世界株式に投資する投資信託はオルカン以外にもあります。
加えて、全世界株式と全米株式のどちらがいいのかは議論の尽きない話題です。
オルカンの代わりに、全世界株式投信の
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド
または全米株式投信の
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)インデックス
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
- SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド
などでもいいでしょう。
なお、オルカンと他の投資信託のパフォーマンス比較についてはこちらの記事をご覧ください。
個人的には、全世界株式と全米株式はどちらでもいいと思います。
また、世界の小型株式にも投資したい場合はオルカンの代わりに楽天VTをお勧めします。投資対象の違いはこちらの記事をご覧ください。
オルカンとレバナスの比率
オルカンとレバナスの割合を変えることでレバレッジを調節することができます。
たとえば以下のような具合です。
オルカン 80%+レバナス 20% →1.2倍
オルカン 50%+レバナス 50% →1.5倍
個人的には全体のレバレッジは1.2〜1.5倍を推奨します。1.1倍ではパフォーマンスがインデックス投資と大差なく、あえてレバレッジ投信を買う意味があるか疑問ですし、1.5倍を超えるのは上級者向きです。
実際の運用法
ここでは、基本形であるオルカン70%+レバナス30%を目指すとします。
1.ゼロからひよのPFを作る場合
この割合になるよう2種類の投資信託を買うだけです。例えば100万円投資するなら、オルカン70万円、レバナス30万円分を買うという具合です。
2.すでにインデックス投資でオルカンを持っているが、レバレッジ投信を持っていない場合
最初のうちは追加入金のたびにレバナスを買ってその割合を高め、徐々に30%に近づけます。
すぐにでもレバナスを30%にしたいなら、オルカンの30%を売ってレバナスを買っても良いでしょう。ただし含み益がある場合は売却により課税が発生します。
1、2いずれにおいても価格変動により割合はどんどんずれていくのでリバランスが必要です。
一般的には、目標より多い投信を売却して少ない投信を買うことでリバランスしますが、含み益が出ている場合は税金がかかります。
若くて資産形成期にある人は、投信を売却せずに追加入金のみで割合を調節することをお勧めします(節税のための損出しなど他の目的がある場合は別です。)
追加入金のたびに、
というやり方を続ければよいのです。そうすることでいずれ目標ポートフォリオが完成するでしょう。
今後入金をしないことになった場合には、売却によるリバランスをすることになります。
ちなみに後述のバックテストによると、リバランスの頻度を1年に1回にした場合にパフォーマンスが最高でしたが、1ヶ月、3ヶ月、半年ごとでも大差はありませんでした。
入金をしない場合は年1回、入金する場合はその都度リバランスをすればいいでしょう。
なお、ひよのPFに個別株は含めない方が賢明です。個別株はインデックスよりハイリスクハイリターンなため、PFに入れてしまうと投信の割合を狂わせやすいからです。
個別株への投資はひよのPFとは切り離して行いましょう。
期待リターン
バックテストをしてみましょう。おなじみのPortfolio Visualizerを使います。
オルカンはVT、レバナスはナスダック100の2倍レバレッジETFであるQLDで代用し、VT 70%+QLD 30%を「擬似ひよのPF」とします。VTはQLDより後の2008年に設定されたので、2009年からの比較とします。

擬似ひよのPF:21.03%
VT:11.66%
QQQ:22.54%
(ちなみにこの期間でのQLDは41.55%!)
擬似ひよのPFはVTを圧倒しています。ただしQQQにはわずかに負けています。
もっともこの期間は最長の景気回復期であり、VTですら11%台という高リターンを叩き出しています。この勢いがこの先永続するとは思えません。
バックテストで、擬似ひよのPFのリターンは以下の式で近似できます。
(擬似ひよのPFのリターンの近似式)
=11.66% × 0.7 (VTが70%)
+41.55% × 0.3 (QLDが30%)
≒ 20.63%
これは、21.03%という数値に極めて近いです。
同様の計算式を用いて今後のシミュレーションをしてみましょう。まずはオルカンとレバナスの将来の期待リターンを設定します。
オルカンの年平均成長率はこれまでのインデックス投資の平均に近い7%とします。
レバナスに対応するQLDですが、上の41.55%は「いいとこ取り」の数値です。下の記事の通り、レバレッジETFにとって不利なリーマンショックとコロナショックの時期を含めるとリターンは25.56%と低下します。
レバナスの見込み成長率はそれより少ない平均20%とします。
常にオルカン:レバナス=70:30を維持できた場合の年平均成長率は、
7% × 0.7 + 20% × 0.3 = 10.9%
となります。この数値は保証できませんが、リターンが全世界株式インデックス投資を超える可能性は高いと思います。
注意点
初心者はインデックス投資から
手軽にインデックスを上回る可能性が高く魅力的なPFですが、全くの投資初心者は手を出さない方が無難です。
レバレッジ2倍でも、大きな経済危機では戻るまでに時間がかかります。レバナスとほぼ同じ動きをするQLDの動態については以下の記事をご覧ください。
もっともITバブル崩壊後は、ナスダック100でさえ元に戻るのに15年以上かかっています。同程度の暴落が再び起こる可能性は低いと思いますが、リスクを理解しておくのは重要だと思います。
コロナショックの前からインデックス投資を始め、株価が下落する中でも冷静でいられたという経験があれば、導入しても大丈夫だと思います。
経済危機下では、レバナスはレバレッジが2倍かかっている分オルカンより大きく下落するでしょう。値下がりしたレバナスを追加入金の際にためらわずに買う度胸が必要です。
為替ヘッジの有無
オルカンは為替ヘッジなしの商品です。つまり、為替の影響を直接受けて評価額が増減します。
一方レバナスは為替ヘッジありの商品で、為替の影響を受けないように設計されています(100%影響を排除できるとは限りませんが)。そのため円安になっても評価額が上がらない代わりに、円高で評価額が下がりません。この点はメリットとなることもデメリットとなることもあります。
気にするほどではないと思いますが、将来円安になることを予想していてどうしても為替ヘッジなしの商品を買いたいという人は、サクソバンク証券などでQLDを買うしかないでしょう。
NISAでどちらを買うか
NISAやつみたてNISAでひよのPFとして投資をする場合、オルカンとレバナスのどちらを買うべきでしょうか。
個人的には、レバナスをNISA口座で買うことをお勧めします。
一般的にレバレッジETFは大幅に下落することもあり、ガチホには不向きです。
ただしナスダック100という成長力が高い対象にレバレッジ2倍をかけるレバナスなら、上昇する期待の方が高いと思います。
よって、レバナスを買った方が非課税額を増やせて得をしそうです。
QQQに勝てない可能性がある
ひよのPFではレバレッジをかけているにもかかわらず、バックテストではQQQを越えることができませんでした。
今後はAIの時代であり、QQQは大きなリターンを生む可能性が高いと思います。そうなると長期的にひよのPFがQQQへの集中投資に負ける可能性は十分にあります。
それでも全資産をQQQに投資することに抵抗がある人は多いと思います。
ナスダックにレバレッジをかけてその恩恵を受けると同時に、オルカンにより全世界株式の主要企業を網羅できる。そんな欲張りな投資ができるのもひよのPFのメリットといえるでしょう。
今回は「ひよのPF」を紹介しました。
初めてレバレッジをかけた投資をする方にとっても組みやすく、負担は少ないと思います。
ただそうだとしても、レバレッジ投信のリスクについてはしっかりと理解してから始めることをお勧めします。
投資はくれぐれも自己責任で。
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