レバレッジETFとビットコインに投資しています。
今回は、ボラティリティの求め方を解説します。
ボラティリティとは、株価などの価格変動の度合いを示します。
株価が長期的に上昇する場合でも、毎日上昇ばかりということはありえず、上昇と下落を繰り返しながら徐々に価格が上がっていきます。この変動の大きさを数値化したものがボラティリティです。
後述するヒストリカル・ボラティリティの計算用Excelファイルの配布もしています。
重要なのはボラティリティがレバレッジ投資のリターンに大きく関わるという点であり、記事の後半で解説します。
ヒストリカル・ボラティリティ計算用Excelファイル
ボラティリティ (Volatility) には、以下の2種類があります。
・ヒストリカル・ボラティリティ (Historical Volatility, HV)
・インプライド・ボラティリティ (Implied Volatility, IV)
今回は、HVを取り上げます。
IVはオプション価格から逆算されるものですが、この記事では割愛します。
HVは、株やインデックスの過去の一定期間の値動きを元に算出したボラティリティです。
年率ボラティリティσは、以下の式で計算します。

一見複雑な式に見えますが、ポイントは
ということです。250という数値は、1年間の営業日が約250日であることから出てきます。
これは、株価のランダムウォークモデル

のσに対応します。
下のリンクからExcelファイルをダウンロードできます。
シートは以下のようになっています。

Yahoo Financeで調べたいデータを検索し、以下の位置にコピペしてください(なおこれはファイルに含まれるサンプルデータと同じです)。

するとσの数値が自動的に計算され表示されます。
初期設定では1年間の営業日 = 250日としていますが、252日のように変更しても構いません。
S&P 500とナスダック100指数のボラティリティ
実際にExcelファイルを用いて、S&P 500とナスダック100指数の年率ボラティリティσを計算しました。期間は1999年から2020年までのそれぞれの年です。
年率リターンμも掲載します。なおμは配当を含みません。


μは自然対数に換算した数値です。
たとえば1999年のナスダック100指数のμ = 0.703は、1.703倍という意味ではなく、
e^0.703 ≒ 2.02倍になったことを意味します。
ここから、ナスダック100指数はほぼすべての年で、S&P 500よりもHVが高いことがわかります。
この22年間全体のデータから計算したσは以下の通りです。
S&P 500: σ = 0.198
ナスダック100指数: σ = 0.281
ITバブル崩壊は異常事態という考えて除外するなど、いくつかの区切った期間で計算すると、σは概ね以下の数値となりました。
S&P 500: σ = 0.20前後
ナスダック100指数: σ = 0.23前後
1928年から2020年までの93年分のS&P 500のデータで計算しても、σ ≒ 0.20でした。
このことからも、S&P 500への長期投資ではσ = 0.20とするのが妥当だと思います。そして、ナスダック100指数のσはそれより高く見積もった方がよさそうです。
2010年代は最長の景気回復期間でσは低かったですが、それが続くとは限りません。
ところで、過去記事で行った株価がランダムウォークすると仮定したシミュレーションでは、σが高いほどレバレッジETF/投信のリターンが減少することがわかりました。
以下の記事でレバレッジありとなしのリターンを定量的に比較しているので、ご覧ください。
さて、ナスダック100指数に2倍のレバレッジをかけた大和レバナスは人気で、それにあやかるように楽天レバナスも誕生しました。
しかし、もしS&P 500とナスダック100指数のリターンがそれほど変わらないなら、σの小さいS&P 500にレバレッジをかけた方が高リターンが期待できることになります。
具体的には以下の商品があります。レバレッジ3倍ならSPXLです。
現時点での人気はレバナスに劣りますが、今後注目されるようになるかもしれません。
・ナスダック100指数の方がS&P 500よりヒストリカル・ボラティリティが高い。
・レバレッジETF/投信は、σが高いほどリターンが減少してしまう。
・S&P 500とナスダック100指数のリターンが大差なければ、S&P 500へのレバレッジ投資の方が有利になる可能性がある。
私がσを使ってやりたいこと
さて、なぜ私がボラティリティの記事を書いたのかを説明します。
以前の記事でレバレッジ1倍、2倍、3倍のリターンについて以下の関係を述べました(表現は少し変えています)。

ただし、これは株価がランダムウォークすると仮定したシミュレーションにより導き出された式です。
私の関心事は以下の通りです。
実際、ランダムウォーク理論で説明できない経済事象もあるとされ、上の関係も同じ可能性があります。
すでにこの関係が成立することを前提としていくつかのブログ記事を書いてしまいましたが、いったん立ち止まり、実際の株価で成立するかを検証することにしました。
具体的にはこの記事の方法で計算したσを元に、QLD (≒レバナス) やTQQQ, SSO, SPXLで検証します。
そのうちブログ記事にできればと思いますので、お楽しみに。
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