株式投資

「短期金利3%」でレバレッジ投資はどう変わるか?

カガミルです。
レバレッジETFと暗号通貨に投資しています。

レバレッジ投資では短期金利が重要です。

なぜなら、短期金利が上昇するほどレバレッジETF/投信のリターンが下がるからです。

2022年、FOMCによる政策金利の引き上げが予定されています。それがレバレッジ投資にどう影響を及ぼすか、レバレッジ投資家はどうべきかについて書きました。

短期金利の動向

まず、2007年以降の短期金利(米3ヶ月国債の利回り)の推移を見てみましょう。

データはFREDのサイトで見ることができます。

レバレッジ投資ではこの金利で借金をして1倍を超えるポジションを取るため、重要な数値です

2007年には5%近くあった短期金利は、リーマンショックの時期にゼロ近くまで下げられました。2016年頃から利上げが行われましたが、2020年3月のコロナショックでふたたびゼロ金利政策がとられました。

2022年になり米国は年率7%台という数十年ぶりのインフレに悩まされ、それを抑えるため急ピッチで利上げを予定しています。2022年3月、FOMCは政策金利を0.25%引き上げて0.25-0.50%としました。

今後の政策金利の予想は、CMEのFedWatchツールから見ることができます。2022年4月9日時点で、1年後(2023年2月1日)の予想は以下のようになっています。

予想される政策金利として最多なのは2.75%-3.00%です。これが実現すれば、短期金利が3%を超えてもおかしくありません。

ウクライナ情勢などが考慮されペースが抑えられる可能性もありますが、米国としては株価よりもインフレのコントロールを優先せざるをえず、今後の金利上昇は避けられないと見てよいでしょう。



数式の中の金利

弊ブログでは、L倍レバレッジETFのリターンを表す式を紹介しています。

この式を分解してみましょう。ひっくるめて「減価」と表現されている部分を、さらに3つの部分に分けます。

①は「増価」です。例えばレバナスの場合はNASDAQ100が成長することで価格が上昇しますが、その上昇する力の源です。

②は「減価」です。NASDAQ100が上下変動を繰り返すと、レバナスの価格が下落します。詳しくは下の記事をご覧ください。

そして今回の記事のテーマに最も関わるのが③、すなわち短期金利(=米3ヶ月国債の利回り)によるレバレッジETFの価格下落です。

L倍のレバレッジをかけるためには、L-1倍の部分に対応する短期金利がかかる。

例えばレバナスなら投資金額の1倍、SPXLならその2倍の部分に金利がかかります。

そして、短期金利が高いほど価格が大きく減少することを示しています。

④の経費は商品により決められていて、当然レバレッジETFのリターンを下げます。



短期金利上昇とレバレッジ投資のリターン

レバレッジ1倍、2倍、3倍のリターンの対応

以前、レバレッジが2倍、3倍の年率リターンの計算法、対応表を作成しました。

この記事では短期金利を1%(0.01)として計算しました。

短期金利がさらに上昇するとレバレッジETFのリターンはどうなるでしょうか。以下では金利が0%, 3%, 5%として計算します。

指数はS&P 500とします。これは、S&P 500の過去数十年間のボラティリティがσ = 0.20 くらいであり、今後も長期的にはこれくらいの数字に落ち着くと考えるからです。

ボラティリティの計算法は下の記事をご覧ください。

S&P 500のリターンに対応するのはVOOとします。そしてレバレッジ2倍(SSOまたはレバSP)、レバレッジ3倍(SPXL)それぞれの年率リターンの計算結果を表にまとめると、以下のようになります。

金利が高いほど、レバレッジETFのリターンが低下していくことがわかります。

VOOのリターンが0-10%の範囲では、概ね以下の法則が成り立ちます。

短期金利が1%上がると、レバレッジ2倍の年率リターンは約1%下がり、レバレッジ3倍の年率リターンは約2%下がる。

レバレッジ3倍はもちろん、レバレッジ2倍にとっても、短期金利の上昇は無視できないと言えるでしょう。



レバレッジ投資がレバレッジ1倍に勝つ条件

別の観点から見てみましょう。今度は

レバレッジL倍のリターンがレバレッジ1倍を上回るためには、基準インデックスの成長率がどれくらい必要か

を見ることにします。

過去記事で検証した、レバナスやTQQQについての結果を使います。

式は以下の通りです。

ここで、2つの不等式の左辺と右辺を比較してみてください。

bが1%(=0.01)上昇した場合、rも0.01上昇しなければ条件式を満たせないことがわかります。つまり、基準インデックスが1%上昇しなければなりません。

(ログリターンと%に換算したリターンはほぼ等しいとみなします。)

実はこれはレバレッジが2倍、3倍に限らず、何倍であっても同じです。数学的にそのことが導けますが割愛します。

簡潔にまとめると以下の通りです。

短期金利が1%上昇した場合、基準インデックスのリターンが1%以上高くならなければ、レバレッジETFのリターンは下がる。

S&P 500の長期的な年率リターンは6.5-7%(インフレ調整後)とされます。全世界株式の年率リターンも5%程度と言われます。

インデックスのリターンを高めるのは難しく、「1%」は小さいようで非常に大きいのです。

ましてや金利が3%上がればインデックスのリターンも3%、金利が5%上がればインデックスのリターンも5%上がらなければなりません。現実的に考えにくい話で、レバレッジE投資のリターンは大きく損なわれてしまいます。



レバレッジ投資家はどうすべきか

読者の皆様の中にはすでにレバナスやレバレッジETFに投資している方もいらっしゃると思います。

私もQLDとTQQQに相当な額を投資しています。

2010年代、レバレッジETFは概ね好調でした。S&P 500やNASDAQ100などの指数が大きく成長したのに加え、先述の通り、このほとんどの期間で短期金利がゼロに近かったためです。

投資は未来を見通して行うものですが、過去リターンの優秀さは魅力的であり、今レバレッジ投資が人気な理由の1つだと思います。

しかし短期金利の上昇は決定的であり、少なくともこの先数年は、過去と同程度のリターンをあげるのは難しいと私は予測します。

ではこういう局面でレバレッジ投資をどうすべきかについて、私の考えを書きます。

今までの投資を続ける

1つの方法は、今まで通りの投資を続けるというものです。

例えば現在レバナスを積み立てるという方針ならば、積み立てを継続します。

短期金利が3%になったとしても、インフレが落ち着き、その後の経済状況によっては再び金利が引き下げられる可能性があります。そうすればハイテクが息を吹き返し、レバナスは大きく上がるかもしれません。

とはいえ長期的な金利の動向を予測するのは難しく、ハイリスクな投資となるでしょう。

レバレッジを下げる

自分のPF全体のレバレッジ下げるという方法です。こうすることで短期金利が資産に与える影響を下げると同時に、リスク(=リターンのばらつき)を下げることもできます。

例えば今までレバレッジを1.5倍になるよう定期的にリバランスしていたのを、これからは1.2倍にするというものです。

金利がさらに高くなるなら、レバレッジ投資を思い切ってやめてしまうという方法もあります。

保有しているレバナスやSPXLなどを全て売却してQQQやVTIやVTに切り替えれば、レバレッジは1倍以下になります。これなら短期金利がレバレッジ投資に与える影響とは無縁の生活ができます。

ただしレバレッジ型商品に含み益がある場合は、売却益に課税されて資産が減ることも考えなければなりません。

なお私の場合、今保有しているQLDとTQQQは持ち続けますが、レバナスの追加購入は当面しないつもりです。

NISA口座の記事に書きましたが、しばらくは(レバレッジをかけずに)全米株式(またはS&P 500、全世界株式)への積立を継続する予定です。

このように資産形成期であれば、すでに保有しているレバレッジ型商品はそのまま持ち続け、レバレッジをかけない商品を追加で積み立てるというのも手かもしれません。

短期売買のみにする

短期トレードをする場合だけレバレッジETF/投信を買うというものです。

保有期間が短期間(例えば数日〜2週間)であれば、金利上昇によるリターン低下の影響は少なくてすみます。

もっともそのためにはトレードのうまさが必要なので、万人向けの方法ではありませんが。


今回は短期金利上昇とレバレッジ投資の関係について解説しました。

レバレッジ投資をされる方にとっては非常に重要なので、ぜひ短期金利に注目していただければ幸いです。

投資はくれぐれも自己責任でお願いします。

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