投資戦略「レバレッジド・コア・サテライト」を運用しています。
運用している戦略「レバレッジド・コア・サテライト」についてはこちらをご覧ください。
今回はFANG+に投資するETNを紹介します。
FANG+は2010年代の米国株高を牽引してきた10種の銘柄であり、個別株として投資している方もかなり多いと思います。
レバレッジをかけないETNであるFNGSと、レバレッジETNであるFNGU、FNGOについて解説しました。
目次 (クリックでジャンプ)
NYSE FANG+指数とは
FANG+とは以下の10銘柄です。
Facebook (FB)
Amazon (AMZN)
Netflix (NFLX)
Alphabet (GOOGL)
Apple (AAPL)
Alibaba (BABA)
Baidu (BIDU)
NVIDIA (NVDA)
Tesla (TSLA)
Twitter (TWTR)
いずれも流動性が高いテクノロジー関連の成長株であり、米国株投資家なら全てご存知ではないでしょうか。
NYSE FANG+指数は、これら10銘柄を10%ずつ均等に入れた指数です。設定日は2017年9月26日です。
つまりニューヨーク証券取引所のことです。
FNGS
まずはレバレッジをかけないETNであるFNGSについて見てみましょう。
なおこれはETFではなくETNです。両者の違いはこちらで解説されていますが、投資する上でそれほど気にする必要はないでしょう。
概要
正式名称は以下の通りです。
販売会社はモントリオール銀行(Bank of Montreal)で、トロントに本社があるカナダ五大銀行のひとつです。
連動する指数は先述したFANG+指数です。
構成銘柄
こちらのサイトから確認できます。
Twitter 12.88%
Tesla 12.17%
Apple 9.99%
Facebook 9.82%
Alphabet(Google) 9.74%
Alibaba 9.55%
Netflix 9.18%
Amazon 9.15%
Baidu 8.97%
NVIDIA 8.55%
(2021年1月26日現在)
FANG+の10銘柄がほぼ均等に組み込まれていることがわかります。
設定時期
2019年11月12日と、まだ販売されてから日が浅いです。
配当利回り
2021年1月現在、分配金は一度も出ていません。
構成企業を見ても、インカムではなくキャピタルゲインを目的としたETNであることがわかります。
経費率
0.58%と、レバレッジなしのETNとしては高めです。
パフォーマンス
設定開始後のパフォーマンスをS&P 500やナスダック100と比較してみましょう。
おなじみのPortfolio Visualizerを使います。
期間は2019年12月〜2020年12月です。

FNGSのパフォーマンスはQQQやVOOを圧倒していることがわかります。
ただし理由の1つは、TSLAが2020年に+743.44%という凄まじいリターンを叩き出しましたためです。同程度のパフォーマンスが毎年続くとは考えにくいでしょう。
流動性
FNGSの時価総額と出来高を見てみましょう。
流動性は低いです。
FNGU(レバレッジ3倍)
正式名称は以下の通りです。
FANG+指数に3倍のレバレッジをかけたETNですので、パフォーマンスは構成する10社の成績で決まります。
設定時期
2018年1月22日です。意外なことにFNGSよりも設定日が早いです。
配当利回り
配当は一度も出ていません。FNGSが無配なので当然と言えます。
経費率
0.95%と、レバレッジETNとしては標準的です。
パフォーマンス
設定開始直後の2018年2月から2021年1月までで、同じレバレッジ3倍ETFであるTQQQ、SPXLと比較します。

先ほどのFNGSと比較すると違った景色が見えます。
確かに2020年以降のパフォーマンスは圧倒していますが、それ以前はTQQQどころかSPXLにも劣っているのです。2018年後半のクリスマスショックでの下落率の大きさが響いています。
10種類の銘柄の均等平均であるため、これらのパフォーマンスの平均がそのまま出た形です。
流動性
流動性はTQQQやSPXLには及びませんが、SOXLとTECLの中間ぐらいの出来高はあります。
投資する上では問題ないレベルと言えるでしょう。
FNGO(レバレッジ2倍)
FANG+指数に2倍のレバレッジをかけたFNGOというレバレッジETNも販売されています。正式名称は、マイクロセクターズ・FANG+・インデックス・2×・レバレッジド・ETNです。
設定日は2018年8月1日で、FNGUの次に設定されました。
パフォーマンスは同じ2倍レバレッジETFであるQLD, SSOを大きく上回ります。
ただし流動性は以下の通り低いです。
レバレッジETNでは特に流動性が重要なため、投資判断は慎重に行いたいところです。
FNGS/FNGU/FNGOを購入できる証券会社
残念ながら、これらは日本の大手証券会社(楽天証券、SBI証券、マネックス証券)では購入できません。
海外の証券会社で購入する必要があります。私はサクソバンク証券で購入しています。
FNGS/FNGU/FNGOに投資すべきか
まず、私の投資に対するスタンスは以下の通りです。
「過去のパフォーマンス」ではなく、
「将来期待できるパフォーマンス」で投資する。
このブログでは様々なETFの過去のパフォーマンスを紹介しています。しかし投資のリターンは未来に得られるものであり、過去がそのまま未来に当てはまるとは限りません。
投資においては過去のパフォーマンスを見るだけでなく、将来の予測をすることが不可欠なのです。
インデックス投資家の皆様も、
「過去200年上がり続けたから」投資しているのではなく、
「これから数十年上がり続けるはずだから」投資をしていますよね?
それも踏まえ、私はFNGUへの投資は状況を見て検討したいと考えています。
その際に気になる点は、
です。
FANG+指数が2017年に設定されてから、10銘柄は一度も変更されていません。
検索した限りでは、今後FANG+の入れ替えがあるかについての情報は見つかりませんでした。
インデックスであるS&P500は定期的に銘柄入れ替えがあり、不調な銘柄は除外されます。
FANG+は組み入れ当初は成長を期待されたのでしょうが、今後も好調を維持できる保証はありません。組み入れ銘柄の入れ替えが一切ないなら、落ち目の株の下落を引きずる恐れがあります。
例えばTwitterです。2021年1月、Twitterがトランプ氏のアカウントを停止したことにより株価が大幅下落しました。同じFANG+のGoogleやAppleのように今後も安定した成長が続くかは疑問です。
さらに均等平均というFANG+指数の悪い面が顕在化する恐れがあります。
S&P500のような時価総額加重平均であれば、割合が低い小型銘柄のパフォーマンスが悪くても全体への影響は小さいです。ところが10種の均等平均だと、大型株も小型株も同程度パフォーマンスに影響を与えてしまいます。もちろん、小型株のパフォーマンスが大きく上昇すれば良い面にもなり得ますが。
一方FANG+には以下の通り世界の時価総額ランキング上位の企業が多いです。
1位 Apple
4位 Amazon
5位 Alphabet (Google)
7位 Tesla
8位 Facebook
9位 Alibaba
18位 NVIDIA
32位 Netflix
(2021年1月末現在)
時代が変われば企業の栄枯盛衰はつきものですが、最近では一度優位を築いた企業がその地位を独走し寡占化する傾向があります。正直、AppleやAmazon、Googleが没落することは想像できません。
また以前書いた通り、レバレッジETFには追証のリスクがありません。
AppleやAmazonにレバレッジをかけた投資をするならCFDという方法もありますが、これは追証のリスクを伴うため私にとってはハードルが高いです。
FANG+は一部を除き安泰と思われる企業が多く、借金のリスクなしでこれらにレバレッジをかけられるレバレッジETNは魅力的です。
ただし変動幅はTQQQ以上に大きいと予想されるので、投資のタイミングはよく考えるべきだと思います。例えばある程度株価が下落し、その後相場が落ち着いてから投資するという具合です。
私にとっての関心事は、FNGUがTQQQ以上のパフォーマンス出せるかです。
そもそもTQQQでも十分過ぎるぐらいです。流動性は他のレバレッジETFと比較して圧倒的ですし、時価総額加重平均である点や定期的に銘柄の入れ替えが行われている点も有利です。
FNGUのパフォーマンスがTQQQを上回ることが期待できて初めて、FNGUへの投資を検討する余地が出てきます。引き続き推移を見ていきたいと思います。
なおFNGSへの投資は考えていません。構成銘柄はたった10種なので、その中の持ちたい株やそれ以外の株を個別に持てばよいと考えるからです。流動性は不十分で手数料が高いのも理由です。FNGOも流動性が低いので投資は考えていません。
今回は主にFANG+指数とFNGUについて解説しました。
うまく扱えば今後大きな利益を得られる可能性があります。ただしレバレッジETFは初心者がいきなり手を出すべき商品ではありません。初心者の方は購入するとしても少額にとどめる方が無難でしょう。
参考にしていただければ幸いです。
投資はくれぐれも自己責任で。
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