株式投資

サーキットブレーカーが発動したら売るべきか?

カガミルです。
レバレッジETFとビットコインに投資しています。

2020年のコロナショック期間中にサーキットブレーカーが4度発動したのは記憶に新しいところです。

レバレッジETF/投信を保有している状態で経済危機の直撃を受けると、評価額は大きく下落してしまいます。下落を予測する方法はないでしょうか。

そこで、

サーキットブレーカーが発動すると、株価はどのくらい下がるのか

についてS&P 500の過去データで検証しました。

結果次第では、サーキットブレーカーが発動した時に取るべき対応がわかるかもしれません。

サーキットブレーカー(CB)とは

まずは米国のサーキットブレーカー(Circuit Breaker, 以下CB)について解説します。

現行制度は以下の通りです。

CBとは

株式市場で一定以上の価格下落が起きた際に、取引所が一時的に取引を停止させる等の措置を行う制度。

ニューヨーク証券取引所等米国市場では以下のようにレベル1から3まである。

レベル1
S&P500が前日終値より7%下落した場合に、15分間取引停止

レベル2
S&P500が前日終値より13%下落した場合に、15分間取引停止

レベル3
S&P500が前日終値より20%下落した場合に、終日取引停止

CBはブラックマンデー(後述)をきっかけに導入されました。

ただし現行制度になったのは2013年5月で、発動したのは2020年のコロナショックのときのみです。

そして、レバレッジ投資家にとってもCBについて把握しておくことは重要です。

CBのおかげでS&P 500は1日で最大でも20%しか下落しません。

ということは、3倍レバレッジのSPXLは最大でも60%の下落ですみます。SPXLの価格が1日で0やマイナスになることがないのは、CBのおかげです。

TQQQやTECLなどの主要レバレッジETFの変動率もSPXLと大差ないので、まず大丈夫とみてよいでしょう。


CBの発動時期

CBが現行制度になる前のS&P 500の歴史の中で、CBがいつ発動したかを検証します。

以下の条件を満たす場合、すなわちCBのレベル1に該当する場合に、仮想CBが発動したものとします。

仮装CB発動条件

S&P 500のその日の安値が、前日の終値より7%以上安い場合

表現簡素化のため、仮想CBと2020年に実際に発動したCBをひっくるめて「CB」と呼びます。

Yahoo FinanceのS&P 500のページから、1928年以降のデータを得られます。

上記の発動条件では、CBが発動したのは35回でした。年代ごとにまとめます。

CBの発動回数

1929年 3回

1930年-1940年 15回

1946年 1回

1987年 2回

2000年 1回

2008年 8回

2010年 1回

2020年 4回

1929年は世界恐慌が始まった年で、CBが3回発動しました。1930年-1940年も不況が続き、15回も発動します。1946年にも1回発動しました。

ただしこの時代は時代背景や取れる金融政策が今とは全く異なるため、考察の対象にはしないことにします。

その後30年以上CBは発動しませんでした。

次の段落では、以下の5つの時期と出来事について取り上げます。

CBが発動した時期と出来事

1987年:ブラックマンデー

2000年:ITバブル崩壊

2008年:リーマンショック

2010年:5月6日の急落

2020年:コロナショック



CB発動後のS&P 500推移

ブラックマンデー

1987年10月19日のブラックマンデーでは、ダウ工業株30種平均が22.6%も下落しました。S&P 500も1日で20.47%という史上最大の暴落が起こりました。

同年10月26日にも8.44%の下落が生じました。

前後のS&P 500のチャートは以下の通りです。

チャートの初日は8月25日で、この日S&P 500はそれまでの史上最高値をつけました。CBが発動した日と底を赤字で示します。

CBの後、以下のようにS&P 500はほとんど下落することなく回復しました。

8月25日 336.77(史上最高値)

10月19日 224.84(CB①)

10月26日 227.67(CB②)

12月4日 223.92(底値)

よってブラックマンデーではCB発動で売った場合、機会損失が発生したことになります。

ただ、もし実際にこの時CBがあったらどうなっていたかはわかりません。たとえば下落が7%で止まっていれば株価は違う経過になったかもしれません。

ITバブル崩壊

2000年、ITバブル崩壊が起こります。その後ナスダック100指数はピークから80%以上下落するという異常事態になりました。S&P 500も影響を受けました。

同年4月14日、S&P 500は一時7.02%下落しました。かろうじてCB発動条件に引っかかったことになります。ただしCBはこの1回のみでした。

前後のS&P 500のチャートは以下の通りです。

2000年3月24日 1527.46(史上最高値)

2000年4月14日 1356.56(CB①)

2002年10月9日 776.76(底)

CB発動の時点で、ピークからは11.2%下落していました。それでもCB発動時に売っていれば、その後の下落を避けられたことになります。

リーマンショック

2007年のサブプライムローン問題に端を発し、2008年にはリーマンショックが起こります。

2008年にはなんと8回もCBが発動したことになりますが、1回目だけを取り上げます。前後のS&P 500のチャートは以下の通りです。

2007年10月9日 1565.15(史上最高値)

2008年9月29日 1106.42(1回目のCB)

2009年3月9日 676.53(底)

1回目のCB発動後、S&P 500は底までさらに30%強下落しました。

この時点で売っていれば、ある程度損失を避けられたことになります。

ただしCBが発動したのは下落相場が始まってからかなり時間が経ってからです。CB発動時点で、S&P 500は史上最高値から29.3%も下落していたのです。

2010年の急落

リーマンショックからの株価回復過程で起きた事例です。

2010年5月6日、ニューヨーク株式市場では一時パニック売りが広がり、ダウ工業株30種平均は前日終値比1000ドル近くも暴落しました。

ギリシャの財政危機への不安や誤発注、システムの不具合などが考えられていますが、暴落の原因は不明です。個人的見解ですが、アルゴリズム取引による売り注文が殺到したのかもしれません。

S&P 500も最大8.58%下落しましたが、株価は同日中に持ち直し、終値は前日比約3.24%の下落にとどまりました。

5月6日の終値からS&P 500は最大で12%強下落しましたが、その後上昇していきました(S&P 500チャートは割愛)。

コロナショック

S&P 500のチャートを示します。CBは4回発動しましたが、3月9日の1回目だけを取り上げます。

2月19日 3386.15(史上最高値)

3月9日 2746.56(1回目のCB)

3月23日 2237.40(底)

CB発動後、S&P 500は底までさらに18.5%下落しました。

ただしCB発動時点で、S&P 500はすでに史上最高値から18.9%下落していました。



CBが発動したらどうする?

以上より、CB発動とその後のS&P 500の下落についてまとめます。

①CB発動後、S&P 500が大きく下落するケースはそれなりにある。

②下落相場が始まってすぐにCBが発動せず、かなり経過してから発動する場合もある。

③下落相場でCBが一度も発動しないケースもある。

①を見ると、CBが発動したときに一旦ポジションを手じまうのは有力な選択肢に思えます。

しかし②のように、CB発動時に売ってもすでに含み損が拡大していて手遅れの可能性もあります。

③についてですが、ITバブル崩壊時のCBでは7%をかろうじて超える下落にすぎませんでした。わずかでも7%を下回れば発動はしませんでした。

また1970年代にアメリカの経済成長は勢いを失い低迷し、S&P 500は40%以上下落しましたが、CBは一度も発動しませんでした。

CBが1度も発動しないままじわじわ下落トレンドに入る可能性も十分にありうるということです。

したがってCBを用いた判断には限界があります。相場を読みたいなら他の判断材料も必要です。

では、レバレッジ投資家はCBが発動したらどうするべきでしょうか。

私はCBが発動したら、少なくともTQQQの一部を売ると思います。

(もちろん下落相場ならそれ以前のどこかで処分できれば理想ですが)

下の表のように、レバレッジETFは元指数下落により大きく価格が低下します。

それなら危険と判断して一度決済、現金化し、次の買いのチャンスに備えた方がいいかもしれません。

もっともこれは私の手法での話であり、個人的見解です。

人によっては、何もしない方がうまくいくかもしれません。対応は投資手法、リスク許容度、レバレッジ投資に当てている金額などにもよる点はご理解ください。

投資はくれぐれも自己責任で。

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ABOUT ME
カガミル
理三→東大医学部卒の医師です。 2019年生まれの息子の子育て中。 子育て、教育、東大医学部/医療、投資について発信します。

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