投資

Adj Close(調整後終値)で見る配当再投資の力

カガミルです。
投資戦略「レバレッジド・コア・サテライト」を運用しています。

このブログの読者様の中には、株やETFに投資をしている方が多いと思います。中には定期的に分配金を受け取っている方も多いでしょう。

分配金を再投資した方が複利の効果でリターンが大きくなるとよく言われます。

今回の記事では

・配当再投資の有無でどれだけリターンが異なるか

・複数の株/ETFの配当再投資ありでのリターンの比較

について解説します。

Yahoo FinanceのデータのClose(終値)とAdj close(調整後終値)を使って求めることができるので、やり方を解説しました。

例題

以下の例題で考えてみます。

例題

1980年1月2日の引けでアルトリア株に1ドル投資した。

以下のそれぞれの場合、2020年12月31日にいくらになるか。

  1. 配当を再投資しなかった場合
  2. 配当を再投資した場合

ただし条件があります。

  • 分配金に税金はかからないものとする
  • 株の購入手数料はかからないものとする
  • 配当再投資の際に端数はないものとする

実際にはあり得ないことですが、思考実験だと思って下さい。



データの入手

まずはYahoo FinanceにあるMO(アルトリア)のデータにアクセスします。検索窓に”MO”のようにティッカーシンボルを入力すれば以下のように出てきます。

https://finance.yahoo.com/quote/MO?p=MO&.tsrc=fin-srch

上の”Historical Data”をクリックし、”Time Period”を設定します。
今回はStart Dateが1980年1月2日、End Dateが2020年12月31日です。

右の”Apply”ボタンを押し、その下のDownloadを押せばcsvファイルが手に入ります。

Excelで開くと以下のようなデータになっているはずです。

このうち鍵となるのは

Close(終値)

Adj Close(Adjusted Close; 調整後終値)

の2つです。

Open(始値)、High(高値)、Low(安値)、Volume(出来高)もありますが、今回は用いません。



Adj Close(調整後終値)とは

Close(終値)はその日の取引で最後についた価格のことで、ご存知の方が多いと思います。

Adj Close(調整後終値)という言葉を見慣れていない方もいらっしゃると思うので説明します。

Adj Close(調整後終値)とは

株/ETFの分割や分配金を考慮して調節した場合の株価

株/ETFを分割した場合

ある株が2分割されて200ドルから100ドルになったとします。
もしそれ以前の株価のデータがそのままだと、株価が半分に暴落したように見えてしまいます。この場合、株価の連続性を保つために分割前の株価を半分にした数値がAdj Closeです。

株/ETFが分配金を出した場合

分配金はもらって嬉しいものですが、重要な点があります。

分配金はどこからともなく湧いてくるものではなく、企業価値の一部を現金として株主に還元したものです。

例えば100ドルの株が5ドルの分配金を出したとします。
もし無配なら、理論上その株価は105ドルになっていたはずです。

つまり、配当を出すたびに企業の時価総額は減っていくのです。

分配金を全て再投資した場合、以下の法則が成立します。

分配金再投資により得られる総リターンは、

「無配だったと仮定した場合の株価」

「無配だったと仮定した場合の株価」は今より高いはずです。具体的な数字で見てみましょう。

ある企業は分配金を出していて、株価が5年前40ドルで、今60ドルだとします。

もしこの間の配当を全て再投資していれば、評価額が75ドルになったとします。これが「無配だったと仮定した場合の株価」で、5年前の40ドルの1.875倍です。

今度は今の60ドルという株価を基準にします。
5年前の「無配だったと仮定した場合の株価」を計算すると以下の通り、実際の40ドルより低くなります。

60 ÷ 1.875 = 32ドル

このようにして配当再投資を考慮して補正した株価がAdj Closeなのです。

私の説明が下手で理解できないという方は申し訳ありません。
その場合も読み進めていただいて構いません。



再投資あり/なしで計算する

では、Excelで計算してみましょう。

列全体に同じ数字をかけることによって、初日である1980年1月2日のCloseとAdj Closeが1ドルとなるように調整します。

Closeに相当するのが「再投資なし」、Adj Closeに相当するのが「配当再投資あり」のリターンです。

2020年12月31日の株価はちょうど41ドルなので、結果は以下の通りとなりました。グラフも合わせて提示します。

最終リターン
  1. 配当金を再投資しなかった場合、約28.52ドル(= 41/1.4375)
  2. 配当金を再投資した場合、約880.47ドル(= 41/0.046566)

配当による複利の効果が見事に現れています。

このようにCloseとAdj Closeを使うことで、株やETFの配当再投資がある場合とない場合のリターンは簡単に比較することができるです。

もちろん同じ株/ETFに限る必要はありません。
異なる株/ETFのAdj Close同士を比較すれば、それらの配当再投資ありのリターンを比較することも可能です。



複数の株/ETFを比較する方法

複数の株/ETFの配当再投資ありのリターンを比較する場合、上記の方法でもよいですが、もっと簡便な方法があります。

それは、Portfolio Visualizerを使うことです。

例えば、1990年から2020年までのMOとS&P 500(配当込み)のリターンを比較してみましょう。

デフォルトで “Reinvest Dividends”(配当再投資あり)となっているので、このまま入力します。

青がMO、赤がS&P 500です。配当再投資ありの場合、この期間ではMOの方が圧倒的にリターンが良かったことがわかります。

このようにPortfolio Visualizerは便利ですが、以下の欠点があることは押さえておくとよいでしょう。

Portfolio Visualizerの欠点
  1. 1985年より前のデータがない。
  2. 月の終値のデータしかない。

特に②は重要です。上の場合、開始点は1990年1月初日ではなく1989年12月末日です。

今回はAdj Closeと、それを用いて配当再投資ありのリターンの見方を解説しました。

参考になれば幸いです。

投資はくれぐれも自己責任で。

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ABOUT ME
カガミル
理三→東大医学部卒の医師です。 2019年生まれの息子の子育て中。 子育て、教育、東大医学部/医療、投資について発信します。

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